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歌詞和訳 Nirvana – Smells Like Teen Spirit コード

1990s

1991年発表の第2作アルバム Nevermind の先行シングル。米6位、英7位を記録。
グランジの時代の到来を告げた画期的ヒット曲。

Smells Like Teen Spirit

(Cobain, Grohl, Novoselic)

F5 Bb5 Ab5 Db5

F5 Bbsus2 Ab6 DbM7
Load up on guns, bring your friends
It’s fun to lose and to pretend
She’s over-bored and self-assured
Oh no, I know a dirty word
銃をたくさん用意して友達を連れて来な
敗者に甘んじたり振りをするのも楽しいものさ
あの子はスゲーつまんなそうだけど自信満々
ああ、こんな汚い言葉があるよ


(pre-chorus)
F5 Bbsus2 Ab6 DbM7
Hello, hello, hello, how low
Hello, hello, hello, how low
Hello, hello, hello, how low
Hello, hello, hello
ハロー、ハロー、ハロー、何てひどい
ハロー、ハロー、ハロー、最低
ハロー、ハロー、ハロー、最悪
ハロー、ハロー、ハロー


(chorus)
F5 Bb5 Ab5 Db5
With the lights out, it’s less dangerous
Here we are now, entertain us
I feel stupid and contagious
Here we are now, entertain us
A mulatto, an albino, a mosquito, my libido
Yeah
明かりが消えてる方が危なくないもの
さあやって来たぜ、楽しませてくれ
バカな伝染病持ちの心地さ
ここにいるから楽しませろよ
混血、白子、蚊、我が性欲


F5 F5/E F5 Gb5
Hey
F5 F5/E F5 Bb5 Ab5
F5 F5/E F5 Gb5
Yay
F5 F5/E F5 Bb5 Ab5


I’m worse at what I do best
And for this gift I feel blessed
Our little group has always been
And always will until the end
得意な事もうまくいかない
でもそんな才能に恵まれて良かった
俺の数少ない仲間達はいつもそんなだったし
これからもずっとそうだろう


→(pre-chorus)(chorus)
(interlude in F5 Bbsus2 Ab6 DbM7)


And I forget just why I taste
Oh yeah, I guess it makes me smile
I found it hard, it’s hard to find
Oh well, whatever, never mind
なんでこんなのを味わってるんだっけ
ああそうだ、気分が良くなるからだった
大変だと気付いたよ、気付くのは大変さ
まあ、どーでもいいや、気にしないでくれ


→(pre-chorus)


With the lights out, it’s less dangerous
Here we are now, entertain us
I feel stupid and contagious
Here we are now, entertain us
A mulatto, an albino, a mosquito, my libido
A denial, a denial, a denial, a denial
A denial, a denial, a denial, a denial
A denial
何にも気付かない方が世の中無事平穏
さあやって来たぜ、楽しませてくれ
全くマヌケですぐ影響されちまう
ここにいるから楽しませろよ
混血、白子、蚊、我が性欲
否定、否認、拒否、拒絶
ダメよ
ダメダメ


本作のヒットは意外にもバンドのマネジメントの予想を裏切るものだった。

手持ちの伝記(カートコベイン死後の再発版)より引用

“Teen Spirit” was not supposed to be the hit. The second single “Come as You Are” was supposed to be the track that would cross over to other radio formats; “Teen Spirit” was the base-building alternative cut. “None of us heard it as a crossover song,” says Gold Mountain’s Danny Goldberg, “but the public heard it and it was instantaneous.” Right away, the then-emerging format of alternative radio began playing “Teen Spirit”. “They heard it on alternative radio,” says Goldberg, “and then they rushed out like lemmings to buy it.”
CoMe aS YoU ARe: THe StoRY oF NiRVaNA, p. 227

先行第1弾シングルの本作が得たオルタナラジオ局での好評がメインストリームのリスナーにも波及したのは嬉しい誤算だった様だ。そしてMTVでのヘビロテがヒットを加速させた。こうして本命だった第2弾シングル Come As You Are の発表を待たずして「オルタナ曲」が米国全土を席巻、ワシントン州のローカルバンドをスターダムにのし上げた。

作者コベインは「究極のポップソング」を書くにあたりピクシーズをパクった(rip off)と言う。これはこの先達への憧憬と敬意を表す発言であり、勿論メロディラインをパクってなどいない。それでも下の曲が元になっていると取り沙汰される(が、正直ピンと来ない)。

Debaser

ただ、ピクシーズ曲の緩急のある展開(Debaser にはさほど顕著ではないが)を参考にしている事は窺える。公演ではコベインは足下のギターのエフェクトペダルを踏んで動と静(歪んだ音と澄んだ音)を行き来する。

曲構成に着目すると、イントロからバース、サビ、間奏、エンディングに至るまで(ブレイク以外)4つの和音の繰り返しで成り立っている事に改めてびっくりさせられる。
これまたシンコペのギターリフを動とすればベタな8つ打ちのベースラインは静と言えようか。

コベインの女友達で、デイブグロールとも因縁浅からぬ Kathleen Hanna がコベインの部屋の壁に Kurt Smells Like Teen Spirit (カートはティーンスピリットのにおいがする)とスプレーした落書きを気に入って曲名に採用したという経緯がある。

Hanna wrote the words “Kurt Smells Like Teen Spirit”. “I took that as a compliment,” says Kurt. “I thought that was a reaction to the conversation we were having but it really meant that I smelled like the deodorant. I didn’t know that the deodorant spray existed until months after the single came out. I’ve never worn any cologne or underarm deodorant.”
CoMe aS YoU ARe: THe StoRY oF NiRVaNA, p. 212

コベインはこの文言を何か革命的なスローガンと取ったが、実際は Teen Spirit とはデオドラントの商品名。彼女のバンドメイトが当時のコベインの恋人 Tobi Vail で、このデオドラントを使っており、その事で彼をからかったのだった。しかし彼がこの事実を知るのは曲の発表のずっと後の事。

本作の詞がカットアップで書かれたという憶測もある[あった]。更にはそれが故に特定の意味を持ち得ないとする見方も(作者の「俺の詞に意味など無い」という発言が影響してはいよう)。
着想の端緒をカットアップに求める事はあっても、偶発的に得た言葉をそのまま羅列するなどは稀だろう。インスピレーションにより行間を埋め、独自の意味を与える筈。

初披露、於シアトル

録音の数週間前にしてこれだけ詞が異なる。無意味でいいなら推敲などしないと思うが如何。
歌メロとギターの単音リックもちょっといじっている。コベインの意気込みが窺える。
リフの一拍目をアップで弾く変則ストロークは最初からの様だ。

さてその詞の中身。
コベイン自身がプロモビデオの描写を嫌っていたという話もあるとは言え、学校のコンサート会場と思しき場面設定は詞の文脈を得る一助となるかも知れない。

ビデオに登場するチアリーダーを1番の she に当てはめると、仏頂面が over-bored (超退屈)に対応する(同音の overboard(極端)を仄めかしているとも取れる)。
彼女達は米国の高校の階層構造の上位を占める(つまり、イケてる)ので、その内心は self-assured (自己過信)。
モップを持つおじさんはコベインが高校中退後にその同じ高校で用務員として働いた過去の示唆か。

冷めた目をしていた聴衆もだんだんノリノリになるが、そんな彼らを逆にニヒリスティックに見返す、というのが本作、延いてはコベインの複数の作品に描かれる情景。
School は正にその高校時代のフラッシュバック。
In Bloom はお気に入りの歌を意味も分からぬまま歌って騒ぐ聴衆への冷や水。

Here we are now, entertain us
このラインが、コベインがパーティ会場に登場した時の口癖だったとする伝記著者などの証言を解釈に流用する向きもあるが、順序が逆。
もし本当に彼がこれを口にしていたとしても、この歌が有名になったからシャレで言ったのだろう。
何にせよ、聴衆の身勝手な態度言動を真似て皮肉っているライン。

Rolling Stone 誌のインタビューにて実際に口癖だったと語っていた。
Well, here we are, entertain us. You invited us here.
パーティ参加が億劫だったが故の軽口との由。

↑ピクシーズに関する記述もあり

A mulatto, an albino, a mosquito, my libido
この言葉の羅列は薬物の隠喩だとする向きもある。
例えば、mosquito = 蚊→注射針
ただ所詮憶測の域を出るものではない。
種々の生命の連鎖の源泉を性欲に求める、とするのが割と素直な解釈か。

あるインタビューでのコベインの発言

disgusted with my generation’s apathy, and with my own apathy and spinelessness
我々世代の無感動にウンザリで、自身の無感動や意気地の無さにもウンザリ

spineless = 無脊椎の→意気地の無い
この発言から無脊椎動物の蚊に繋げるという曲芸的な解釈もある。
スゴい… オモロい…

Oh well, whatever, never mind
あからさまな韜晦(これ自体、何か変な言葉)。
Aero Zeppelin の詞中の Doesn’t matter anyway に似ている。

With the lights out, it’s less dangerous
明かりが消えている方が危なくない

明かりが無い事で本質が見えにくい状況に身を置いていれば何も問題は起こっていないに等しい。
テレコにすれば、本質がよく見える方が危ない、となる。

上のシングルのジャケ写がぼやけていて3人が笑っているのか怒っているのか分からないのにも通ずる。
彼らがこの詞の一節の意味を実際にジャケ写にも込めたのかは知り得ないが。

コベインはこんな譯解を付ける者に対しても冷笑を浴びせるだろうか。

Live At The Paramount
Live at Reading

冒頭の Boston は… まあシャレです。ノボセリチの歌はマジで下手に違い無い…

B-DASHによるカバー

洋邦数多あるカバーの中でこれが一番好き。彼ら独自の解釈で再現しているのが最高!
それこそがカバーの本義ではあろうが、一方で原曲にこんな大胆な変更を施すガッツはなかなか持ち得まい。
見事に長調に転じて本家のシリアスさを敢えて排除している所などは原作者本人も気に入る事請け合い。

こんな人まで…

最初は無自覚な道化のオッサンにしか見えなかったが、聴く内に悪くないなあと思うようになってもーた。

ギターリフ研究

一拍目アップストローク

コメント

  1. spica より:

    初めまして
    ポール・アンカというのはカルチャー・ショックでした。ジャズは全く知らないのですが、ポール・アンカはカナダ、ニルヴァーナはシアトル。シカゴ・ジャズあたりが結びつくでしょうか? ディヴ・グロールがジョン・ポール・ジョーンズらとジャジィなユニットを組んだことがあったのが納得。そして90年代がジャズ・ムーヴメントに流れて行ったのも。ポール・アンカも歳をとって、彼がマイ・ウェイを提供したシナトラを彷彿とする歌い方になったなと、そっちも納得ですw 個人的にとても勉強になりました。

    • deni より:

      spica さん 初めまして ようこそ

      グロールがJPJらと組んだのは聞き知ってましたが、ジャズみたいなのもやってたんですね。
      アンカのカバーはノボセリチかグロールが許可したんでしょうが、コベインがいたらどうなってた事やら。
      ボウイファンとしては、マイウェイはアンカに横取りされた感があり(Life On Mars?)、複雑な思いです。
      大嫌いな曲でしたが、先日、加山雄三がコンサートで歌っているのをテレビで見て、不覚にも感動してしまいました。

  2. 1718 より:

    ちょっと前までオジサンが「ニルヴァーナはガキのための音楽だ!70年代の音楽の方が優れていた」と叫んでいるのを見かけましたけど、ニルヴァーナを聴いてた10代も大人になって世代交代の象徴と言えるであろうこの曲も懐メロの仲間入りです。いずれ今の30代が「90年代は良かったなあ」と言うようになるのでしょうかね。70はもちろんこの90年代にも生まれてない自分にはしょーもない懐古主義者にしか見えません。単純に好みもあるでしょうが曇りない目を持って認めなければならない物がありますね。

    • deni より:

      叫ぶオジサンはどこで見かけましたか

    • deni より:

      わ、発表から27年だったのですね、1718さん。気付きませんでした…

  3. ywyw より:

    突然すみません。ピクシーズからパクったってのは「Debaser」じゃなくて「U-mass」じゃないですか?

    https://youtu.be/ymwkQeZxZ-s

    Wikipediaの解説じゃピクシーズの方は「Debaser」て書いてあって「スメルズ・・・」の方には「U-mass」って書いてあってごちゃごちゃしてるんです。個人的には「U-mass」の方がそれっぽく聴こえるような・・・・。
    どちらの曲からも影響受けてたんですかね?

    • deni より:

      ywyw さん ようこそ

      Wiki見てみました。仰る通り(元は“U-mass”と言われている)と載ってますねえ。しかし U-Mass の収録アルバム Trompe le Monde も Teen Spirit のシングルも共に91年9月に発表されているのでこれはガセですね。