1971年発表の第4作アルバム Hunky Dory 所収。
Andy Warhol
(David Bowie)
Be a standing cinema
Dress my friends up just for show
See them as they really are
Put a peephole in my brain
Two New Pence to have a go
I’d like to be a gallery
Put you all inside my show
お決まりの映画みたいに
友達をうわべだけ飾り立て
本当の姿が見てみたい
脳にのぞき穴を開ける
新しい2ペンスが発行予定
ギャラリーになって
みんな僕のショウに出てもらいたい
Hang him on my wall
Andy Warhol, silver screen
Can’t tell them apart at all
写真を壁に掛ける
アンディウォーホルと銀幕は
全く区別がつかない
Andy take a little snooze
Tie him up when he’s fast asleep
Send him on a pleasant cruise
When he wake up on the sea
Be sure to think of me and you
He’ll think about paint
And he’ll think about blue
What a jolly boring thing to do
少しうたた寝
深い眠りについたら彼を縛って
楽しいクルーズに出てもらおう
洋上で目が覚めたら
きっと僕と君の事を考えてね
彼は絵の具の事を考え
そして青の事を考えるだろう
何とつまらぬ事
→(chorus) x2
Two New Pence to have a go
71年2月15日(Decimal Day)の通貨十進法化(£1=240ペンス→100ペンス)に伴い、新しい2ペンス銅貨が発行された。
こんな文言が詞中に忽然と現れて面食らうが、これは作者が英国の時事をご丁寧にも挿入して本作の時代背景を説明してくれているのだろうか。
think about glue という詞が多く流布するが、blue と聞こえる。
では公式サイトを当たってみよう。
と思ったら掲載されてた筈の歌詞はすっかり削除。ありゃ、余計な事を… 権利関係?
まあ不正確な詞も散在してたから別にいいんだけど。
著作者の死後、その威光にすがって遺産の管理やら運用で飯を食う奴なんてロクなモンじゃない。著作権延長論者に至っては何をか言わんや。権利は正義と嘯く事のはしたなさにきっと彼らは死んでも気付かない。
その点、私なんて死んだら公に供するべく権利は放棄、全てパブリックドメインとするつもり。
そんな立派な信念を持っていますが、著作物を持っていないのが残念です。
Interview on Andy Warhol 1987
I wrote Hunky Dory song before I met him.
ウォーホルに会う前に書いた歌と明言している。
そして彼の The Factory にて披露。
“Oh yeah, that’s right, that’s great.”
That was his critique of the song.
「ああ、まあ、いいんじゃない」
それがこの歌についての彼の評だった。
ウォーホルは詞が好意的でないと取ったのかも知れない。
でも、ファンだからといってあからさまな賛歌を当人の眼前で歌う事ほど間抜けな行為は無かろう。
映画(silver screen)そのものの様な存在だと歌ってボウイはウォーホルを称揚したのだろうが、当人は自身の外見を気にしていたらしく、居合わせた人達もそのビミョーな言い回しに肝を冷やす。その後ウォーホルの関心はボウイの履いていた靴に移り、歌の話はお流れに。自身が靴のデザイナーもしていたからか、それとも気分を害して話題を変えたのかは知り得ない。
うーん、なかなかの緊張感のある初対面だこと。
96年の映画バスキアでウォーホルを演じるボウイ
Stone Temple Pilots
追記
二人の死の前年、2015年、ボウイが共通の知人に語った言葉
I know you’re friends with Scott Weiland. Please let him know that I’m here to talk if he needs someone.
君はスコットワイランドと友達なんでしょ。誰かを必要としてるならいつでも話をしよう、と伝えてほしい。
いい話…
Danny McEvoy
あ、彼は glue って歌ってる…
コメント
ボウイがウォーホルについての曲を書いていたとは知りませんでした。Andy Warhol, silver screen と歌っていますが、彼のトレードマークだった「銀髪」と「銀幕」を掛けたのでしょうか。銀髪はかつらだったらしいですが。
ところで、ピクシーズの I’ve been tired の譯解をばお願いしたく申し上げます。自分なりの対訳が完成したので、答え合わせをしてみたいのです。もちろん、お暇があったらでいいですから……。
ブラックフランシスの捻じ曲がった人間性がよく表れた歌詞だなあというのが、僕なりの所感です。
確かに、演じたボウイも銀髪かつらですね。それに関連して少し本文に追記してみます。
ピクシーズはぼちぼちやってみます。