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歌詞和訳 Sting – I Can’t Stop Thinking About You コード

2010s

2016年11月11日に発表予定の第12作アルバム 57th & 9th からの先行シングル。
音源自体は既発も如何せんクレジット表記が見当たらないので勝手にスティングの単独作と推定(まず間違い無いだろうけど)。
このアルバム表題と下掲のジャケ写が示す通り、録音場所は居住地でもあるマンハッタン。

I Can’t Stop Thinking About You

(多分 Sting 作)

Bbm Gb Db (x3)
Bbm E7sus4

Bbm Gb Db
White page, an empty field of snow
My room is 25 below
This cold man pen chasing ghosts
A road lies underneath a the buried boat posts
Dogs search the under forest
We scour the empty streets
The fact remains until we find you
Our lives are incomplete
真っ白なページ、真っ新な一面の雪
零下25度の部屋で
この冷たいペンは亡き魂を追う様に走る
埋められたの下を通る一本の道
犬は森の地面を嗅ぎ回り
僕らは誰もいない街路を捜し回る
あなたに会うまでは
僕らの人生が未完だという事実に変わりは無い

D#m B C#
Do I hear laughter through a veil of snow and ice?
D#m B
Where could you be on such a lonely winter’s night?
氷雪のベールを通して笑い声は聞こえるだろうか
こんなに寂しい冬の夜にあなたはどこにいるというのか

(chorus)
C#m A E
I can’t stop thinking about you
I can’t stop wanting you this way
I can’t face living without you
That’s why I’m searching night and day
This heart’s a lonely hunter
These hands are frozen fists
I can’t stop thinking about you
I don’t care if you exist
あなたへの思いは止められない
ついこんな風に求めてしまう
あなたのいない人生には向き合えないから
僕は夜も昼も捜し回っている
この心は孤独なハンター
この手は結んだまま凍て付く
あなたを思わずにはいられない
実在せずとも構わない

D#m B C#
Do I hear laughter from behind this veil of the night?
D#m B G#
What are you hiding in the frozen heart of winter?
G#7
Somewhere a church bell tolls
B7
I know you’re close, the scent’s still warm
B7
Then the trail turns cold, cold, cold
夜の帳の向こうから笑い声は聞こえるのか
冬の凍て付く心の中にあなたは何を隠しているのか
どこかで教会の鐘が鳴る
あなたが近くにいるのは分かっている、今でも生々しい匂い
でも面影はだんだん遠ざかる

→(chorus)

F#m D E
Do I hear laughter in the silence of the snow?
F#m D B
I know you’re hiding in this frozen heart of winter
B7
A midnight church bell tolls
B7
I know you’re close, your scent’s still warm
B7
Then the trail turns cold, cold, cold
雪の静けさの中で笑い声は聞こえるのか
冬の凍て付く僕の心の中にあなたが潜んでいるのは知っている
真夜中の教会の鐘が鳴る
確かにあなたは近くにいる、まだ気配がする
でも面影は、だんだんと、遠ざかって、いく

→(chorus)

C#m A E
I can’t stop thinking about you
I can’t stop wanting you this way
I can’t face living without you
C#m A Dadd9
I can’t stop wanting you
あなたへの思いは止められない
こんなにも求めずにはいられない
あなたのいない人生には向き合えない
思わずにはいられない

13年振りのロック回帰なんだそうな(そう言やリッチーブラックモアもか)。

ポリス時代の Truth Hits Everybody のテンポを落として鈍らにした感じとでも言おうか。

C#m A E はいいとしても、キメの D(add9)まで同じだなんて…
ロック存亡の機にこんな焼き直しのぬるーい歌を発表するとはスティングも耄碌したか…
などと、表題と曲調から判断して気の抜けたロックのラブソングだとバカにしていた。

I don’t care if you exist あなたが実在するかどうかはどうでもいい

ところがこの一行を聞くに至り、ただのラブソングではなく同業の故人への思慕を暗示する歌だと合点。
確かにインタビューでもボウイやプリンス(の死)について語っていた。

然りとて曲が退屈なのは変わらぬ事実… と思っていたが…
歌詞を聞き取るべく何度か聴く内に何だか気持ち良くなって来る。コードを拾うべくこっちもギターを手に取り弾き始めると、むむ、やっぱ楽しいではないか。はてさてこれこそがスティングが意図した所かも知れない。つまり楽器を始めて間も無い中学生バンドでもやれてしまうお手軽な楽しさの提示。ロックの本質的な醍醐味。転調パターンが都合三つありコード構成が四相を呈しているからボーカルはちょっと厄介だけど、ギターはパワーコードの平行移動で対応できる。ベースもルート弾きで十分。オカズは無視。そしてドラムは愚直に8ビートを刻んでエンディングだけ4つ打ちをキメる。はい、ロックバンド一丁上がり。演奏者が楽しければそれで良し(聴かされる方はこの際無視)。

故人への思いとロックの楽しさを同時に示しながら、音楽の先達と自身、そして新しい世代とを繋ごうという心積もりなのかも知れない。
ロックの再興はスティングの双肩に掛かっている(かも)。

細かい事を言えば、Englishman In New York で alien(外国人)を自任していた者が本作では winter’s の発音を米国英語に寄せている。今はNYの住人なのは分かるが、無理やり感が否めずイマイチ。何よりニューカースル出身のあなたには似合わない。
いい歌メロが思い付かないのを転調でごまかし、そのコード進行も旧譜から流用した手垢の付いたもの。バックボーカルはバランスを取るだけのベタなもの…
などと当初はこの新作に色々とケチを付けてやろうと思っていたけど、どうやらミイラ取りがミイラになる事ってあるみたいです…

最後に少しややこしい構文に触れておきます。
Our lives are incomplete は前行の The fact に係っている。
つまりこの二行は間に副詞節(until…)を挟んだ一文であり、分かり易く繋げれば下の如し。

The fact (that our lives are incomplete) remains until we find you.
あなたを見つけるまでは、僕らの人生が未完成だという事実はずっと続く。

勿論元の語順でも構わない。ただ that はあった方が構文を把握し易い。

あ、似た様な文を自分で書いてた。
「然りとて曲が退屈なのは変わらぬ事実… と思っていたが…」
However, the fact remains that the music is stale. But then…


追記 9/29

私の聞き取りと sting.com に掲載された本作歌詞とに齟齬あり。

This cold man → This cold pen
今でも man とも聞こえるが、ペンだった!
これを機に差し替えたMVの冒頭に映るノートにも pen と記されており、ペンをノートに走らせるスティングも描かれている。
すると ghosts とは往年のロックソングの事か。

a buried boat → the buried posts
ボートが何を意味するのか定かならぬまま、前作 The Last Ship との関連か何かだろうとテキトーに考えていた。
ただそれが柱(posts)になったからとて作者の真意に迫れた気はしない。
 The fact remains that I can’t get the point of this line.(もういいか…)

this veil of the night → this veil of midnight
これについては実際の歌唱は前者、midnight とは発声していない。

あ、それから作者はやはり Sting でした。


また追記 11/28

the buried posts が文字通りに意味するのは、道の両脇に据えられた電柱。ただ両義的に、葬られた(= buried)投稿文(= posts)を暗示しているのかも知れない。つまり日の目を見なかった数多の詞や文章、或は作品。
そしてその返り見られぬ死屍累々の書き物を横目に、男はがらんどうの通りをひとり嗅ぎ回り捜し回る。


またまた追記 2017/6/6

発音について、英国英語 = クイーンズイングリッシュ、というステレオタイプに囚われ、スティングの発音を米国人に寄せているなどとアホな事をぬかしていた。そもそもがロンドンとニューカースルとで発音が異なるという話。例えば同じ winter’s night という言葉が出て来る91年の曲 All This Time を聞くと、その発音は本作と同じ(当たり前だけど)。
上の記述は私のアホを晒すべくそのままにしときます。

ついでにこれも発音の話。
Englishman In New York のサビは、スティングはここ最近の公演では、English マーン とやってます。これは米国人[mˈæn]との差異を大袈裟なまでに際立たせる為。
今日始まる日本公演に行かれる方はチェックしてみて下さい。

コメント

  1. 石川 貴之 より:

    興味深く拝読させていただきました。
    今回のスティングの復帰作、素直にカッコいいと思っています。確かに曲は単純だし、どっかで聞いた感は拭えません。ただ、その昔ジャズに傾倒していたスティングがロックを稚拙な音楽だと発言したことを考えると、それに対する懺悔の曲かなとも思います。深読みするのも楽しいですが、素直に楽しむのもロックの良さです。それに気づいたんでしょうね。スティングは。
    それと、忘年会シーズンに合わせた発売。みんなでカラオケできるようにしてくれたんだと思います。今年はPPAPでも恋ダンスでもなくこの曲で盛り上がります。

    • deni より:

      石川 貴之さん ようこそ
      いいですね、カラオケ。本作に続いて Petrol Head を歌えば更にアガること請け合い。
      ジャズより前にクリームやジミヘンの洗礼を受けているので、彼の「稚拙な」という発言は実は「分かり易くアガる」という意味で、それ自体が褒め言葉だったのかも知れないですね。