スポンサーリンク

歌詞和訳 Sting – If I Ever Lose My Faith in You コード

1990s

1993年発表の第4作アルバム Ten Summoner’s Tales の開始曲。英14位、米17位のヒットシングル。

If I Ever Lose My Faith in You

(Sting)

Am7 A7 A7sus4 B/A

Aadd9 A Gadd9 G Dadd9 D Dadd9 D
You could say I lost my faith in science and progress
You could say I lost my belief in the holy church
You could say I lost my sense of direction
You could say all of this and worse, but
僕がもう科学も進化も信用してないとか
信仰心もないとか
方向感覚でさえ失ったとか
それにもっとひどい事だって言ってくれてもいいけど

E E/F# G6 Aadd9
If I ever lose my faith in you
There’d be nothing left for me to do
万が一僕が君を信用しなくなったら
もう他にする事なんて残らないだろう

Some would say I was a lost man in a lost world
You could say I lost my faith in the people on T.V.
You could say I’d lost my belief in our politicians
They all seemed like game show hosts to me
僕が失われた世界に迷い込んだ男だと言う人もいるだろう
テレビの有名人も信じないとか
政治家も信頼しなくなってしまった奴だとか言われたっていい
彼らはみんなクイズ番組の司会者くらいにしか僕には見えなかったし

If I ever lose my faith in you
There’d be nothing left for me to do
君への信頼が失せたら
僕にはもう他に何も残らない

G6 Em G6 Em G6 Em G6 Em

F#m7 G#m7 A9 Bsus4 B
I could be lost inside their lies without a trace
F#add9 F# G#sus4 G# B/A A B/A A
But every time I close my eyes, I see your face
見る影も無いほど嘘に埋もれてしまう事もあろう
でも目を閉じれば必ず君の顔が見える

Aadd9 A Gadd9 G Dadd9 D Dadd9 D
I never saw no miracle of science
That didn’t go from a blessing to a curse
I never saw no military solution
Aadd9 A F#m7
That didn’t always end up as something worse
Eadd9 C#m7
But let me say this first
恵みから祟りに変わる事のなかった
科学の奇跡など一度たりとも見た事がない
最後まで状況を悪化させなかった
軍事的解決も見たためしがない
でもまずこれは言わせて

Badd9 C#sus4 C#
If I ever lose my faith in you
D6 D Esus4 E
If I ever lose my faith in you
Badd9 C#sus4 C#
There’d be nothing left for me to do
D6 D Esus4 E
There’d be nothing left for me to do
君を信用しなくなったら
君への信頼が失せたら
もう他にする事なんて残らない
僕にはもう他に何も残らない

E E/F#
If I ever lose my faith
G6 Aadd9 A
If I ever lose my faith
E E/F#
If I ever lose my faith
G6 Aadd9 A Aadd9 A
If I ever lose my faith in you
もしも信心が失せたら

G6 Em G6 Em G6 Em G6 Em…

sting.com より

 詞について

The song is in two distinct parts. The first part is about the things I’ve lost faith in. It’s quite easy to be precise about the things I’ve lost faith in – politics, media, science, technology, the things that everybody has, and yet I along with most other people have a great deal of hope, and a feeling that things will and can get better. So what do we place our faith in I can’t define that as easily as I can define what I don’t believe in anymore. So I haven’t defined it, I’ve just said if I ever lose my faith in you, and “You” could be my producer, it could be faith in God, it could be faith in myself, or it could be faith in romantic love. It could be all of those things, I don’t define it. I think it’s important not to define it, because once you can define something it evaporates. I think it’s important in this day and age when we are dictated to by music television what a particular song is about, that the old ambiguity that songs had can be retained.

“はっきり二つに分かれる歌で、最初のパートは僕が信用できなくなったものについて。それを詳細に挙げるのは簡単で、皆と同じく政治やメディア、科学、技術なんだけど、これまた殆どの人と同じく僕も大きな希望をそれでも抱いていて、状況は良くなるだろうし、なり得ると思っている。信用を置くものは、もはや信用を置いていないものほど簡単には定義できない。だから僕はしていない。「もしも僕が君を信用しなくなったら」と言っているだけ。この「君(You)」は僕のプロデューサーでもあり得るし、神への信心かも知れないし、自分やロマンティックな愛への信頼でもいい。決め付けないから何でもいい。はっきり決めないのが肝要だろう。定義した途端に消えて行くから。何の歌なのかが音楽番組に規定されてしまう今日この時代においては、歌が持っていた昔ながらの両義性が保たれ得る事が大事だと思う。”

これは All This Time などにも見られる、特定の宗教を支持するものではないが信心を持つ事自体は有意義だ、という考え方にも通ずるものだろう。Nirvana の Lithium などにも共通するテーマ。
後半は何だか歌の意味合いの曖昧さを積極的に正当化しようとしているみたいに思える。

でもまあ、君に信心を置かないとしたらもう僕には他にする事が残らない、なんていう回りくどい独り言ともつかない語り掛けをする相手 you は(規定しないとは言え)やっぱ異性であり、本作の根本はきっとラブソング。

ただ、政治とメディアはいいとして、ちょっと引っ掛かるのは科学や技術も信用しないという件。科学や技術はそれが欺瞞を含み信用に値しない時点で科学でも技術でもない。あ、築地市場豊洲移転みたいな話になったな。スティングの持ち出すメディア(の伝え方)とも関係するし。
彼は規定(define)しないのが肝要だと言うが、ここでは語の意味範囲の線引きはきっちりしておこう。
恐らく彼の言う科学と技術は、その使い方を含むのだろう。それを決定するのが政治で、伝えるのがメディアならば、四つの内の後二者は前二者に帰する。
これらの語の使い方が斯様に彼の主観的定義に基づいているのが分からないと聞き手はちょっと混乱してしまう。私も最初は彼の言う science は pseudo-science(疑似科学)の様なものを指しているのかと思った(が、そうではなさげ)。
詞中に言う「科学の恵みが祟りに変わる」のは科学が悪いんじゃなくてそれを使う人間の所為。それを以って科学そのものが信用できないと言うのはお門違い。軽く弾いただけの弦の音が後ろの方の聴衆にも届くのは科学の装置が増幅してくれるからこそ。自分だって十分にその恵みに浴しているでしょうに。
彼の科学についての認識が(本当か否かは別として)観念的で杜撰だとツッコまれてしまうのも仕方のない事なのかも知れない。
例えば We Work The Black Seam において彼は自身が感情的に肩入れする石炭利用という既存の技術との対比で原子力の科学技術を見ており、勢い知識の不正確さを露呈している。
科学と情念をごっちゃにして語るからややこしくなり、それが自身の理解を妨げるだけならまだしも聞き手をすら誤解させてしまう。
まあこれは個人のみならずメディアや言論機関も平気でやっちゃってる事。トラフィック稼ぎの為かどうかは知らんけど。

あ、似た様な話を思い出したのでもうちょっと脱線…
だいぶ前だがTVで、ある脳科学者が日本語は英語に比べて非論理的だと言ったのを耳にした。たまげた。
どの言語もそれが存立し得たのは意思伝達の共通の道具としての論理性があったればこそ。そしてその論理性はそれぞれの言語に固有のもので、神でもなけりゃそこに優劣多寡なぞ認めようもない。彼は神でもなく髪でもなく脳の人だったが、仮にも科学者がそんな「非論理的」な事を言っちゃうなんて日本は大丈夫かいな。
言語という道具の使い手自身、或はその使い方に論理性の多寡があるのは事実。そして例えば誰でも編集できるウィキペディアなどを読むと、その日本版は英語版に比して圧倒的に非文が多い。でも勿論これも日本語が非論理的だからなのではなく、書き手が非論理的な書き方をしているだけ。ひょっとしたらその脳科学者はこの辺の事を言おうとしたのかも知れないが、何にせよ論理性において日本語という言語そのものが劣っているという物言いは大間違い。

 曲について

It starts off with a flattened fifth. A flat five is an interesting chord because it was banned by the church. It’s called a tri-tone, and it was banned by the church – it was the devil’s music. Blues music is based on the tri-tone, and in sacred music from the middle-ages, the Pope banned the tri-tone, the flattened fifth. It’s disconcerting. It puts you ill at ease. So we start that way so that you think it’s been going on for a while, but it hasn’t.

“下げた5度で曲が始まる。減5度は三全音とも呼ばれ、教会に禁じられていたという面白い和音。悪魔の音楽だった。ブルーズ音楽は三全音に基づいている。中世の宗教音楽では、人を当惑させ不安にさせるから、法王がこの和音を禁じていた。そこで僕らは、暫く続くと思わせる使い方をしたんだけど、実際は続かない。”

冒頭のハーモニカ(或はベース音)のAに対する減5度はEbで、これは四つ目の和音B/Aに含まれるのだが、作者スティングはクロマチック上昇の迫り来る不気味なイントロの感じ全体を減5度と言っているのだろう。

ポリス時代の Synchronicity II にも似た感じがエンディングにあり、あっちは正に迫り来る怪獣を表現しているけど、こっちはド頭のイントロに使っていてしかも後には出て来ないから余計に何か意味ありげ。

 似たリズム

このシンコペ、スティングのも元祖じゃないだろうけど、さてじゃあもっと古いのは何?と訊かれると、思い付かん…

追記

頭の片隅にあったのはこれっぽい。ギターリフのリズム。ちょっとつっかえが取れた…

レーザー光線の視覚効果こそあれ、マイク片手に身一つで踊るだけで一曲分の絵が持っちゃうんだからすごい。

うーん、もっとたくさんありそう… 思い当った方、ぜひお知らせ下さい。この下にどんどん貼っていきます。

コメント