1969年発表の第2作アルバムの表題曲… に結果的になった。
と言うのも、本作がシングルとして英5位とヒットし有名になった為、72年の再発版から元のアルバム表題の David Bowie を廃し Space Oddity に改題したから。デビューアルバム表題も David Bowie なので、混同を避ける為もあったのだろう。
この初ヒットシングルは再発され、73年には米15位と当地での初ヒットを記録し、更に75年には再び英チャートを昇り、初の1位を獲得している。
Space Oddity
(David Bowie)
FM7 Em FM7 Em
C Em
Ground Control to Major Tom,
C Em
Ground Control to Major Tom,
Am Am7 D7
Take your protein pills and put your helmet on.
C Em
Ground Control to Major Tom,
C Em
Commencing countdown, engines on
Am Am7 D7
Check ignition and may God’s love be with you.
(Ten, Nine, Eight, Seven, Six, Five, Four, Three, Two, One, Liftoff)
地上管制よりトム少佐、
地上管制よりトム少佐、
プロテイン錠を飲んでヘルメットを装着せよ
地上管制よりトム少佐、
秒読み開始、エンジン始動
点火チェック、では神の愛が君と共にあらん事を願う
(10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、発射)
C E7
This is Ground Control to Major Tom,
F
You’ve really made the grade
Fm C F
And the papers want to know whose shirts you wear.
Fm C F
Now it’s time to leave the capsule if you dare.
C E7
This is Major Tom to Ground Control,
F
I’m stepping through the door
Fm C F
And I’m floating in a most peculiar way
Fm C F
And the stars look very different today.
FM7 Em7
For here am I sitting in a tin can.
FM7 Em7
Far above the world,
Bb Am
Planet Earth is blue
G F
And there’s nothing I can do.
C F G A A C F G A A FM7 Em7 A C D E
こちら地上管制よりトム少佐、
成功だ、よくやった
君がどんなシャツを着ているか新聞社が知りたがっている
さあ準備が良ければカプセルを切り離す時間だ
こちらトム少佐より地上管制、
ドアをくぐっているところです
すごく妙な感じで浮かんでいて
今日は星が全然違って見えます
それは僕が世界の遥か上の
このブリキ缶の中に座っているから
惑星地球は青い
でも僕に出来る事は何もない
C E7
Though I’m past one hundred thousand miles,
F
I’m feeling very still
Fm C F
And I think my spaceship knows which way to go.
Fm C F
Tell my wife I love her very much. She knows.
G E7
Ground Control to Major Tom,
Am Am7
Your circuit’s dead, there’s something wrong.
D7
Can you hear me, Major Tom?
C
Can you hear me, Major Tom?
G
Can you hear me, Major Tom?
Can you…
FM7 Em7
Here am I floating round my tin can,
FM7 Em7
Far above the Moon,
Bb Am
Planet Earth is blue
G F
And there’s nothing I can do.
C F G A A C F G A A FM7 Em7 A C D E
100,000マイルも旅して来たけれど、
気分はすごく落ち着いている
我が宇宙船は進むべき道を知っているかの様
妻に愛していると伝えて下さい、そんな事は百も承知だ
地上管制からトム少佐、
回線が落ちてしまった、何かおかしい
聞こえるか、トム少佐?
聞こえるか、トム少佐?
聞こえるか、トム少佐?
聞こ…
月の遥か上で
ブリキ缶の周りを浮遊している
惑星地球はブルーだ
でも僕に出来る事は何もない
68年公開のSF映画「2001年宇宙の旅」に影響を受けて本作は書かれた。
ボウイの曲の邦題は原題を音訳した「スペイス・オディティ」で、映画の方の原題「2001: A Space Odyssey」を同じく音訳すると、スペイス・オディスィとなる。アクセントも双方「オ」で、完全韻(perfect rhyme)、平たく言えばダジャレ。
映画邦題からは連想できないし、オディスィなどと英語風には普通言わないからか(オディティも言わないが)、この事実は日本ではあまり語られない。
古代ギリシアの叙事詩が大元で、オデュッセイアやオデッセイアと言ったり、車の名にもあるが、オデッセイとするのが日本では普通(最後のは誤音訳のような気がするが)。
オリジナルとも言うべきアルバム収録前の音源
テンポはこっちが少し速い。
管制官役は当時のボウイの相方でギタリストの John Hutchinson で、多くはハモだが彼単独で歌う部分もあり、二人の遣り取りで本作の演劇的側面が強調される。尤もビデオではボウイが二役とも演じている。
丸眼鏡に帽子Tシャツ、そしてそこには ground control の略と思しきGCの文字。
方や宇宙服に Major Tom と大書…
これが新聞社が知りたがってるっていう服?アホアホ宇宙ミッション…
打ち上げの発声の liftoff の所をこっちは blastoff と歌っている(実際の打ち上げで後者は聞いた事ない)。
では逐語的に…
米ソ共、飛行士は軍のテストパイロットから選ばれる事が多かった為、その呼称の頭には階級が付される。
Major(少佐)の他には Colonel(大佐)など(これ、発音がメンドくさいヤツ)。
露語は知りません。
helmet と engines の後の on は、我々日本人にはどーでもいい気がするが、Tom との押韻。
ignition = 点火装置
may God’s love be with you
may + S + V の形の祈願文。しかしこんな事、管制官が本当に言うんだろうか?
For here am I sitting in a tin can
倒置文。ロケットをブリキの缶に見立てています。
Though I’m past one hundred thousand miles
この past は文法上、前置詞で、以下がその目的語。
Tell my wife I love her very much. she knows.
これは二つの文と解釈しました。
前者の飛行士の依頼に対して管制官がカットインし、君の奥さんはそんな事当然知ってる、バカな事言うな!と声を荒らげているのだと。
実際の歌唱も she knows の語気は強くなっています。
ただ上のオリジナルビデオの方では、語気も平坦だし、何より飛行士が全文を語って(歌って)いる。
となると、妻は知ってる(言わずもがな)でしょうが伝えて下さい、という解釈が正しいのかも知れません。どっちにしても管制官を慌てさせるには充分。
で、その管制官の Major の発音に注目すると、発射前後の落ち着いた語り口だった頃は米国英語風に「メイジャ」だったのが、ここへ来て完全に「マイジャ」と英国英語風になっている。狼狽ぶりが表れているのかとも思ったが、そもそも本作は米国市場を意識したものだったのか。語気を強めたボウイの歌唱が英国英語に戻ってしまっただけなのか。不思議な現象ではある。
ただ興奮して最大限に口を開けると「エ」より「ア」の形に近くなるのは人類共通(多分)。
Can you…
Here am I floating round my tin can
hear ⇒ here 同音語の言葉遊び。
同時に語り手が管制官から飛行士に切り替わり、場面が転換。
曲については、イントロの Fmaj7 の響きが宇宙の無限の広がりを、そして次の Em がその宇宙に吸い込まれる飛行士の虚無感を表している、つまり冒頭の2つの和音が殆ど曲全体を説明してしまっているかの様。
… なんちゃって、きっと結果論。ちょっと評論家ぶってみたりして。
本作はボウイの宇宙シリーズの起点。
後の Life On Mars? や Ziggy Stardust などに繋がっていく。
Will Kenny Everett Make It To 1980? Show
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