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歌詞和訳 Culture Club – Karma Chameleon コード

1980s

83年発表の第2作アルバム Colour by Numbers の先行第2弾シングル。
英米を含む14ヶ国で1位を記録した、バンドの代表曲。

Karma Chameleon

(O’Dowd, Moss, Craig, Hay, Pickett)

Bb F Bb
Desert loving in your eyes all the way
If I listened to your lies, would you say
Eb F
I’m a man without conviction
I’m a man who doesn’t know
How to sell a contradiction
Eb Gm F
You come and go, you come and go
最初から目にはそっけない愛が映ってた
君の戯言に付き合えばどうせまたこんな風に言うんでしょ
「僕は確信が持てない男さ」とか
「反論の押し付け方が分からないんだ」って
来たかと思えばいなくなる、君は全く自分勝手

(chorus)
Bb F Gm
Karma karma karma karma karma chameleon
Cm Bb F
You come and go, you come and go
Bb F Gm
Loving would be easy if your colors were like my dreams
Cm Bb F
Red gold and green, red gold and green
カルマの深いカメレオン
都合のいい時だけやって来る、君は気まぐれさ
君の色が僕の思い描くものだったら恋愛にこんなに苦労はしないだろうに
赤や金色や緑色だったら

Didn’t hear your wicked words every day
And you used to be so sweet, I heard you say
That my love was an addiction
When we cling, our love is strong
When you go, you’re gone forever
You string along, you string along
意地悪な言葉を毎日聞かされたってわけじゃない
前はとても優しかった
僕との恋愛がやみつきだなんて言ったりして
一緒にいれば僕らの絆は強いのに
いなくなればもうそれっきり
注意を引き付けといてスッといなくなる

→(chorus)

Eb Dm
Every day is like survival
Eb Gm
You’re my lover, not my rival
Eb Dm
Every day is like survival
Eb Gm F
You’re my lover, not my rival
毎日が競争みたい
君は僕の恋人、張り合うものじゃないのに
毎日がサバイバル
君は僕の愛する人、ライバルなんかじゃない

(harmonica solo on Bb F Bb)

I’m a man (a man) without conviction
I’m a man (a man) who doesn’t know
How to sell (to sell) a contradiction
You come and go, you come and go
「僕は確信の無い男さ」とか
「矛盾の押し通し方が分からないんだ」なんて言って
君は全く勝手な人、来たかと思えばいなくなる

→(chorus)(chorus…)

LP付属の歌詞にも本作冒頭の詞は desert と記されていたと記憶する(因に初めて買ったレコード、手元にはもう無いが)。
ただ当時からそうは聞こえず、ずっと訝っていた。
原盤と同じ音源の上のビデオを再生速度0.5にしてさえやはり今でも there’s a みたいに聞こえ、少なくとも desert では決してない。
ならば他の音源で確認。

2016年6月オーストラリア公演
https://youtu.be/gHzzsxxnc84

desert って歌ってる… じゃあ結局正式には desert なのか… (変更した?)

速度0.5で聞き取った事で別の事に気付かされた。
それは Boy George の微妙なビブラート。当時はきっとサブリミナル的に私の生理に訴え掛けていたのだろう。
これまたLP付属のライナーには確かジャーニーのスティーブペリーがジョージの歌唱を絶賛していると載っていた。今思えばペリーは私の様な素人とは違い、ジョージの歌唱のそんな機微までをも聞き取った上で評価していたのだろう。

さてLPを裏返してみる。
B面の開始曲にして先行第1弾シングル Church Of The Poison Mind の歌い出し
Desolate loving in your eyes
desolate ≒ desert と見なせるから本作冒頭にほぼ一致。
そして次行
You used to make my life so sweet
これは本作2番の you used to be so sweet に近い。

斯様にアルバムの表裏の開始曲の冒頭がほぼ同じな上に似たラインもある。もうこれはある種のコンセプトアルバム。テーマが首尾一貫している(作詞者の語彙の貧困か怠慢かという意地悪な見方も出来はする)。
で、そのアルバムを貫くものとは、作詞者歌唱者たるジョージによる、バンド結成時から恋仲だったものの段々と冷たくなっていったドラムの Jon Moss への複雑な気持ちの吐露(もっと言えば当て付け)。
アルバム中、I はジョージ、you はモス、we は彼ら二人と見なしてまず差し支え無い。

I was selling this big lie.

僕はこの大ウソを売り物にしていた。

ボーイジョージの私小説的恨み節。
ただ無論当時は知る由も無く、アルバム表題の Colour by Numbers のとりどりの色というイメージのみが頭を支配。

本作では表題に変幻の象徴たるカメレオン(これも色んな色だ)を持ち出してモスの気まぐれをなじり、因果応報を警告する。
ただ一旦それを意識し出すと全部がそう見えてきてしまい、ビデオの中の our love is strong の所をモスのアップにしているのもジョージの差し金かと勘繰ってしまう始末。
最近の公演でジョージが歌メロのシンコペを均して歌っているのはもはや当時と同じ気持ちでは歌えない事の表れなのだろうとこれまた勝手に想像する(が、強ち的を失してはいまい)。

sell a contradiction
この言い回しについてはインタビューでジョージ本人もおかしな言葉と認めていた(ただソースを探すも見当たらず)。
つまり主眼は conviction との押韻にあり、意味文脈は二の次。

red gold and green
これらの色をゲイの象徴と見なす向きもある様だが、恐らく後付け。本作が先。


追記

成程ジョージは黄色を gold と表現してたのね、と思ってラスタを調べると元々あれは黄色でなく金色 gold だった!
この質問者も同じ様に認識してたのでは。


ところで「君は完璧さ」と「カーマは気まぐれ」を合わせた「君は気まぐれさ」が対訳に入ってたのにはお気付きでしたか?(しょーもな)
で、その邦題「カーマは気まぐれ」。
この言い回しのせいで「カーマ」を人名と勘違いした人が多かったらしい。てゆーか恐らく命名者もそう取ったからこそのこの邦題なのだろう。
確かに語呂はいいし原題の頭韻を保存し得てもいる(まあ命名者本人がそこにまで留意していたとは思えないから偶々だろう)。本作の日本でのヒット/浸透に一定の功はあったか。
「気まぐれ者にカルマを」だったら勘違いも無かっただろう(けど語呂が…)。

日本公演 Starman カバー

ジョージは以前からバンドやソロでこのボウイ曲をカバーしてきた。
日本でもやっぱやったんだなあ。今回のツアーでは追悼も込めているのだろうが、物故に一々触れないのはジョージが真のボウイファンだからなのだろう。
他のカバーは聴いた事ないけど、プラスチックソウルの Young Americans なんかを歌ってもハマる事請け合い。


追記 2018-5-1

プライベートで訪れたイスラエルでのモスのインタビュー。ユダヤ系英国人の彼もヘブライ語を話しはしない。

1:08

George is Catholic and Roy, the guitarist, is a Christian, white English Christian boy. The bass player Mike is black from Jamaica and I’m Jewish. Also, George’s from South London. I’m from North London. The guitarist is from East and Mikey, the bass player, is from West London. So really we’re completely different and it’s quite a coincidence.

東西南北ロンドン偶然異文化俱楽部

5:54

Incredible, very talented, typical Irishman, you know, very good with words.

ジョージをベタ褒め。
アイリッシュに言葉が達者なイメージがあるのはオスカーワイルドなんかの影響だろうか。


公式歌詞ビデオを発見

There’s a ってなっとる…


オヤジギャグもロックスターなら許されるのけ!?

コメント

  1. へのへのもへあ より:

    初めまして。
    Miss Me Blindの和訳検索からお邪魔して、カルチャークラブの項を一巡。かゆい所に手が届ききった意訳・和訳に感嘆・噴飯(今まで見たこともない解釈や直球の表現におったまげ的な意味合いです、決して解釈に疑義を唱えたものではありません、念のため)。
    私は彼らの曲や歌詞・その背景に興味を持って日がまだ浅いので、いずれ機会を見つけて、各項にコメントできたらと思いました。その節はよろしくお願いします。

    LP盤A面B面のアルバム構成のくだり、いとおかしですね!!

    下のこの部分、私も思うところがあります。
    >最近の公演でジョージが歌メロのシンコペを均して歌っているのはもはや当時と同じ気持ちでは歌えない事の表れなのだろうとこれまた勝手に想像する(が、強ち的を失してはいまい)。
    >もはや当時と同じ気持ちでは歌えない

    はい、同感です。ところでdeni さんは、どのような観点からそのように思われたのでしょうか?良かったらもうちょっとその辺のお話を具体的に伺ってみたいです。因みに私は、
    1、社会の規範・規定にとらわれず両者の思いを解放し共有し合う新たな関係を再構築したから
    2、1を以ってyou came and goの心配が雲散霧消したから、と考えました。

    • deni より:

      へのへのもへあさん 初めまして ようこそ

      > アルバム構成のくだり
      BSの Song to Soul がこの前も本作を取り上げていて、その中で共作者フィルピケットは There’s a と歌い出しています。するときっとアルバム版のジョージもそう歌っているのでしょう。A-1とB-1とに相通ずるものがある事に変わりはありませんが。
      印象的なイントロのギターリックはピケットによるもの(自身の他曲からの流用)。詞と歌メロはジョージだけど、恐らくこれにコードを付けたのもピケット。別のインタビューか何かでロイヘイが変なコード進行と評していたので少なくとも彼が付けたものではない筈。
      因に同番組の「(アルバム名)所収」という言い方は本サイトのパクリだと勝手に思ってます。

      > 当時と同じ気持ちでは歌えない
      1も2も仰る通りだと思います。モスはジョージと別れてからフツーにヘテロ結婚を経験し子供もいます(後に離婚)。互いに清算/妥協みたいなモンが無いと再結成も出来ないでしょうし。
      まあ同じ歌い方に飽きた、みたいなのもあるんでしょうけど。

      > 各項にコメントできたら
      それでは忌憚の無いご意見をお待ちしとります。「解釈に疑義を唱えたもの」でも大歓迎!

  2. へのへのもへあ より:

    早速お返事ありがとうございます。

    >まあ同じ歌い方に飽きた、みたいなのもあるんでしょうけど。
    直球な表現におったまげ、早速きました。

    >There’s a
    まだ彼らだったりボーイジョージの上っ面だけしか踏む込めていない(かつ、英語も芳しくないのでこうして和訳サイト頼みの)私の感想ですが、ジョージは「井戸」「川」「海」「雨」「帆に受ける風」など水(周辺の事象)に関するもので、自分の心情を表すことが多いなぁと過ったりもしたので、そこから想像するに、砂漠(desert )と歌い出すことは、ジョンがもたらす変わり果ててしまった愛を表すのに、打ってつけの単語だったのだろうと思います。彼にとって全く満たされない愛に変貌しただけでなく、悲劇なのはそれがまだ決定的な決裂をもたらしていない状況であって、関係を終わらせる采配を自分が振るう未来しか待っていないという。

    またジョージは泳ぐことが大好きなようで、ジョンともそうだったようにバカンスをそういったところで過ごすことから、とてもパーソナルな感情はいつも「水」とセットだったのかもしれません。だからこの歌詞からは、満ち足りた時間を過ごしていないわジョン、私たちの甘い「水」の記憶が干上がってるわジョン、今度のOFFは一緒に過ごせるの?ジョン?!と、面と向かうと言えない詰問も入っていたかもしれません。すべて想像ですが。

    >印象的なイントロのギターリック
    >>ピケットによるもの(自身の他曲からの流用)
    ギターリックなるものが、すみません全くわからなかったのでちょっと調べてみたのですが。
    YOUTUBE動画「 Jon Moss interview – Culture Club / Boy George drummer (1985, Israeli TV) 」、これの5分26秒あたりからジョンが歌詞とメロディーのことを、6分34秒あたりからその印象的なイントロのギターリック?にまつわることに触れてるみたいで、ここではジョンのひらめきとして「ロカビリー」どうよって取り入れた話になってるようですが、どうでしょう。粉々の断片しか聞き取れないので、違ってたらごめんなさい。

    • deni より:

      > ジョージは泳ぐことが大好き
      初耳、おったまげ。海パンかビキニかってゆーアホな詮索はさて置き、水と(愛の)渇望の対比には思い至りませんでした。ジョージの意識下にあったのかも。面白い着眼点ですね。

      guitar lick… 余計なものを書いた様です。要はド頭のギター音のアレです。

      ご教示の動画、貼ってみました。ピケットの音源は見当たりませんでした。またいつかBSTBSで再放送すると思うのでチェックしてみて下さい。テンポは違うけどまんま同じです。モスが言うのは恐らく、この曲が好きになれなかったロイヘイの興味を引く為にそのリックのリズムをロカビリー風にした、という事でしょう。それでも彼はピンと来なかった様ですが。詞はやはり全てジョージが書いてるみたいですね。

  3. へのへのもへあ より:

    >リックのリズムをロカビリー風にした、という事でしょう。
    そういうことですか、合点がいきました。
    そうです、ジョンがジョージの才能を褒めることはあっても否定するのを聞いたことがありません。漏れ伝わる二人の暴力的な関係は、あくまで私的な部分とはいえ、それがそのまま歌詞になりメロディーになり曲になってバンドとして世に送り出すわけですから、ズル剥けの傷跡に塩を毎回塗る作業ですよね。この曲が納められたアルバムをピークに、バンドが衰退していくのは致し方ないとしても、現に今再結成をわかっていても、その心情を辿るのはすんなりとはいきません。

    > ジョージは泳ぐことが大好き
    髭ジョージになってからも、クローズドのプールに浮かぶドアップ画像を見たことがあるので、さがせばあるかもしれません。
    下半身はひ ・ み ・ つのようで、一貫して写り込んでいませんがね。

    >ビデオの中の our love is strong の所
    そう見えました。きっとそうでしょう。

    横道にそれますが、3分辺りから、ペテン師を三人が囲んで掠め取られたアクセサリーなどを奪い返す場面で、ジョンがネックレスを自分にあてがうシーンが、とても強く印象に残っています。一瞬ポーズを決めると、マイキーと視線を合わせ破顔します。
    このPV映像を初めて見たとき、ボーイジョージと恋に落ちたジョンモスなる人物を私は特定できずにいたので、ここにもオカマちゃんがいるぞぉーと思ったものでした。チャーミングだけど、男前っぽくもあり不思議な人だなぁーと。
    程なくそれがヘテロセクシャルのジョンだとわかるのですが、私はジョンにもその気質があるようにずっと疑っています。

    • deni より:

      僕はヘテロですが、若い頃の可愛いジョンモスにだったら、ジョージよりもやさしくできそうな気がします。

  4. へのへのもへあ より:

    >There’s a ってなっとる…
    ですな、チャンチャン。大変ごくろうさまでございました。

    てか、lyric付きの動画はアヴィーチーやアデル007のテーマ曲ぐらいしか見たことなかったんですが、
    カルチャークラブは、閲覧者の都合度外視で、オリジナルデザインここに極めりって感じで遊んでますね。