2014年のサッカーW杯で開催国ブラジルを下し3位になったオランダ代表選手の背中には、Vlaar 等、同一母音の連続が散見した。監督の名も van Gaal だ。固有名詞だけでなく一般の語に含まれるものも「アー」と、日本語の長音の様に発音するそうで、oo も同様に「オー」。
蘭語の親戚、同じゲルマン語の英語の発音に視点を転じてみる。
蘭系移民の出自を持つ二人の著名な米大統領 Roosevelt(セオドアとフランクリン)は日本ではルーズベルトと読まれるが、当地米国ではろウザヴェルトに近い音で言われる方が多い。
この二人はおじと甥の関係だと言われるがこれは間違い、実際は12親等の遠いいとこ。
cousin はいとこと訳されるもその実、意味範囲は少し広く、同世代の親戚の全てを指す。
遠近の明示に序数を付加し、いとこ=(first)cousin(4親等)、はとこ=second cousin(6親等)… で、彼らは互いの fifth cousin(12親等)に当たる。
従兄セオドアの姪が従弟フランクリンの妻だった事から誤解が生まれたのでしょう。
話を発音に戻します。
一般に oo は英語では、「ウ」(foot)か「ウー」(food)と読まれるが、従兄セオドアは自身の姓について、
「Rosavelt と綴られるが如く発音し、その第一音節は rose に同じ」
と、ある手紙に記していた。つまり、「オウ」だ。わざわざその旨を書き留めたのは、家系の誇りからか、「ウー」と読まれるのが不本意だったのでしょう。山崎さんが「私ホントはヤマザキじゃなくてヤマサキなんです」と断るのと一緒か(違うか?)。従弟フランクリンに至っては、蘭の出自を更に意識してか、原語での発音により近いと思しき「オー」と発音したらしい。(普通の米国人はこの長音をやらない、或は出来ない)
然るに日本ではルーズベルトとなったのは、米の関係者が「ウー」の方を伝えた、または日本の役人だか通詞だかが口伝には触れぬまま通例に倣って字面を読んだ、或は聞き違った結果だろうと推測します。
余談ながら二人の祖先の大元はユダヤ系らしいので、ドイツ辺りで姓を与えられたか買わされたかしたのでしょうか。
さて今は昔、日本の興行界を席巻した格闘技のK-1の主要選手の一人に蘭人の Ernesto Hoost がいました。彼はホーストと呼び習わされた。これは母国の発音に近いだろう。耳で聞いた音を日本のメディアが広めたのだと察する。
しかし、ラスベガス大会だったか、リングアナは日本人ではなく英語話者で、Hoost を
「アネストウ… フーーース(ト)」と呼び込んだ。
上述の通りやはり英語話者が oo を普通に読めば「ウー」となるのだなと思ったのを記憶している。
ホースト本人もいちいち訂正しなかったのでしょう。
気になるボインの話でした… おしまい。
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