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歌詞和訳 Pixies – Monkey Gone To Heaven

1980s

89年発表の第2作アルバム Doolittle 所収。

Monkey Gone To Heaven

(Black Francis)

There was a guy
An under water guy who controlled the sea
Got killed by ten million pounds of sludge
From New York and New Jersey
ある男がいた
海を支配した水の中のその男は
ニューヨークとニュージャージーから出た
一千万ポンドの汚泥に殺された

This monkey’s gone to heaven (x4)
この猿は天国に召された

The creature in the sky
Got sucked in a hole
Now there’s a hole in the sky
And the ground’s not cold
And if the ground’s not cold
Everything is gonna burn
We’ll all take turns
I’ll get mine, too
空にいる創造物は
穴に吸い込まれた
今や空には穴が出来ており
地は冷えていない
そして地が冷たくなければ
全ては燃え尽きる定め
皆にもお鉢は回って来る
私だって例に漏れる事は無かろう

This monkey’s gone to heaven (x4)
この猿は天国に召された

Rock me Joe!
ロックしてくれジョー!

If Man is 5, if Man is 5, if Man is 5
Then the Devil is 6, then the Devil is 6
Then the Devil is 6, then the Devil is 6
And if the Devil is 6
Then God is 7, then God is 7, then God is 7
人間が5なら、人間が5なら、人間が5なら
悪魔は6、悪魔は6
悪魔は6、悪魔は6
そして悪魔が6なら
神は7、神は7、神は7

This monkey’s gone to heaven (x9)
この猿は天国に召された

「ニューヨークとニュージャージーから出た」というのは、州境を流れるハドソン川から海に汚泥を排出しているという事だろうか。

こんな記事を発見。

NJ州は65年以上続けてきた下水処理水の海洋放流をやめており、またNY市と近隣2郡も同様にせざるを得ない状況との由。
これはNYTimesの91年3月の記事なので、本作発表の89年には汚染が進んでいただろう事が窺える。
ただまあそれで万事解決となる筈も無く、この記事にもある通り代替の廃棄場所やコストの問題が当然の如く待ち受けている。

アルバムジャケ写にも見られる5,6,7の数字はヘブライの数秘術(中国で言う易経みたいな占い)に纏わるもの。
ただ作者ブラックフランシスは、意味より韻律(seven/heaven)を重んじており、本作はシュルレアリスムだと言っている。

Rock me Joe! は、恐らくわざとベタなロケンローラー風にした、リードギターの Joey Santiago のギターソロを促す呼び掛け。

コメント

  1. is より:

    ピクシーズ、ありがとうございます。嬉しいです!

    「人間は5、悪魔は6、神は7……」何のこっちゃ?と思っていましたが、なるほど数秘術というのに因んでいるのですね。積年の疑問が解消されました。
    本作の数秘術云々も然り、このブログは詞を玩味するうえで必要な周辺知識・背景を豊富に載せていて助かります。deniさんはこう言った情報をどこから得ているのですか?

    • deni より:

      isさん またようこそ
      リクエストにお応えしたわけでもないのに喜んでもらえてこちらこそ嬉しい限りです。

      > 情報をどこから
      まず発表年や収録アルバム等を確認すべくwikiにあたります。そしてそこに詞や曲についての作者本人の弁があればそれを訳して引用したりします(ソースが明示されていればリンクを貼るようにしています)。ただ本作についてはwiki英語版の内容がほぼそのまま日本語版にちゃんと訳されていたのでやめました(詳しく書かれているのでそちらもご参照あれ)。
      そこで当サイトでは別の情報を伝えるべく、例えば今回ならNYとNJの件が気になったので検索してヒットしたNYTimesの記事を引きました。本作の時代背景と当時の環境問題への関心や行政当局の対応が窺い知れると思います。NYTimes.comのアーカイブには過去の記事が膨大にあり、何度か引用しています(今の所fake newsは掴まされていないと思いますが)。
      今回はwikiとの重複を避けたので、とりわけisさんの様な、詞やその背景までをも深く知ろうとする上級リスナー向けの、舌足らずの記事になってしまいました(本当を言えば、足りない説明を補おうと思ったけど面倒臭くなってやめました)。なんでいきなり新聞記事のリンクがあるんだ?と面喰うピクシーズファンもいるかも知れません。
      まあ音楽なんて身体感覚で味わうもの。「外国語だし意味は分からんけど好き」の方が寧ろ自然(自国語でも?)。ただ一方で、ブラックフランシスや、他には例えばピクシーズファンを公言していたカートコベインの様に、頭に巡る思いを明け透けに吐き出すのに独自の言葉を使っているリリシストがいる[いた]事実を知るのもまた一興だと思います。詞だけでなく曲についても(特にコード進行)彼らが「陳腐を避ける」作業をしているのは間違い無いでしょう。
      ところで前回「このブログは信用できそう」と貴兄に過分なお言葉を賜ったので調子に乗り、原作者の奴隷の件をサイトタイトルの下に記す事にしました。

  2. is より:

    wikiをチェックしてみました。かなり微に入り細を穿った記事ですね……参加したチェリストのレコーディング時の服装とか、ジョーイのギターソロが17秒続く、とか……「その情報いる?秒数まで書く?」とも思いますが、まあ多くのリスナーの耳目を集めた重要な作品であるという事実が、この情報量に表れているということなのでしょうね。wiki編集者の熱意に押されてつい何回もリピートして聴きなおしてしまいました。17秒でした。

    「翻訳者は原作者の奴隷たるべし」の旗印、気づいておりましたよ。ネットによくある翻訳なんだか創作なんだかわからん記事には困ったもんです。そういうのを書いちゃう気持ちは、でもわからなくもないんです。英語に自信はないけど大好きな曲の歌詞を自分なりに訳してみたい、そして、知識不足や思い入れの強さゆえに身勝手な解釈が混ざってしまう、というような。それを自分の日記帳だけに書いておくのだったら、それも音楽の楽しみ方のひとつとして尊重されてしかるべきでしょう。しかし、「翻訳」と銘打って世界に公開するとなると、そこには責任が生じると思うんです。充分な英語能力を持つ者が、掘り下げて調べる労を惜しまずに、原作者の謂わんとするところを能う限り忠実に訳すのでなければいけない。それは礼儀の問題だと思います。原作者への礼儀、作品への礼儀、まっとうな翻訳をして食っている職業的翻訳家諸兄への礼儀、訳文を読む者への礼儀。というか翻訳という営みそのものへの礼儀……。
    まあ「これは僕の愛が暴走した結果の”超訳”です」と一言断りを入れて載せるのだったら……僕は許しちゃいますけどね。
    deniさんは奴隷、がんばってください。応援してます。

    (リクエスト、考えているんですがなかなか決まらず……deniさんが興味ないような曲を選んでもいいものでしょうか)

    • deni より:

      > 自分の日記帳だけに書いておくのだったら、それも音楽の楽しみ方のひとつとして尊重されてしかるべき
      > 「これは僕の愛が暴走した結果の”超訳”です」と一言断りを入れて載せるのだったら……僕は許しちゃいますけどね
      御意。ところが対訳の体で公開するとそこからは伝言ゲーム、作者の本意から離れる事こそあれ近づく事は決して無く、それはもはや原作の解釈とすら呼べぬ代物です。でもこーゆーのをへーきな顔でやっちゃう自称ボウイ研究家やNirvana知ったかぶり野郎みたいなのがいたりします。ただ彼らもレコード付属の似非対訳や薄っぺらい洋楽ジャーナリズムの犠牲者なのかも知れないので、心の広い僕は慈悲深く見守ってやってます。
      ってのは大ウソで、そんなクソ和訳とっとと削除しやがれと思ってます。いたいけな洋楽ファンをミスリードするなと。
      超訳に引用符を付してるって事はその本義をご存じとお見受けしました。意訳が文単位の変換なら超訳は文章/作品単位について言う言葉の様ですね(これも本来は)。
      リクエストはThe Smithsなんていかがでしょう、というリクエストのリクエスト。

    • is より:

      smithsでいえば僕はなんたってwhat difference does it make?のリフが大好きでして、是非お願いしたいところです。smithsの和訳はdeniさん初挑戦ですね?