1972年発表の第5作アルバム The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Mars 所収。
Moonage Daydream
(David Bowie)
F#
I’m a mama-papa comin’ for you
Bm Bm/A
I’m the space invader
E
I’ll be a rock n rollin’ bitch for you
G
Keep your mouth shut
D
You’re squawking like a pink monkey bird
F# Bm Bm/A
And I’m busting up my brains for the words
E
君達の為にやって来た父であり母である
宇宙侵略者だ
ロックしてロールする情夫になってやろう
口は閉じてなさい
桃色猿鳥みたいにうるさい奴らだ
脳を破裂させて俺が詞を捻り出しているというのに
Put your ray gun to my head
Press your space face close to mine, love
D E
Freak out in a moonage daydream, oh yeah!
お前の光線銃は俺の頭に向けておけ
そのイカした宇宙の顔を寄せてみろ
白月夢に身を任せたらどうだ
Lay the real thing on me
The church of Man, love
It’s such a holy place to be
Make me baby
Make me know you really care
Make me jump into the air
本心をぶつけて来い
人類の聖堂
それは斯くも聖なる場
お前達が俺の事を
思っているという証を見せてみろ
俺を宙に舞わせてみろ
→(chorus)
(interlude in Bm A G F# x2)
→(chorus) x2
Bm A G F#…
ロック教ボウイ総本山への入信勧誘ソング。神は鰐、信者は桃色猿鳥。
サビ中の形容詞 electric は(偶然にも)カクテルの電気ブランにおける用法に同じく、モダンで新鮮なものに冠する修飾語。
ジミヘンのアルバム Electric Ladyland やスタジオ Electric Lady Studios 等にも見られる。
この electric eye は次行の ray gun と併せて近未来的空想を誘う。
ボウイ自身のオッドアイを想起させもする。
表題 Moonage Daydream
the Stone Age が石器時代なら、ボウイの造語 moonage は人類が月にも行ける様になった時代を言うのだろう。
そして moonage daydream は相対する月と陽を配した言わば撞着表現。
ボウイの作法に倣って白月夢という撞着造語を以って訳語とした。
David Bowie なる芸名を騙る David Jones がその上に Ziggy なる仮面を更に纏って地球人の前に降臨。
冒頭に皮肉めいた見方を示しはしたが、これこそがロケンロール。ロック賛歌でもなければロックを定義する曲でもない。ロックソングそのもの。
白月夢に身を預けろと歌い手が聴き手に臆面も無く言い渡す。
一堂に会する信者達
聖なる The church of Man の壇上では鰐教祖が不敵な笑みを浮かべ、檀下の pink monkey bird は恍惚と白月夢に忘我する。
但しこの教祖はグルの仮面を外す事を初めから予定していた。
二重の偽名は欺瞞に対するせめてもの申し訳。情夫の自称は誠実な開き直り。
この神の嘘はスティングが 50,000 に言う that old lie なのだろう。
シビれるカバー
技術に裏付けられた余裕。一人二役(ボウイ+ロンソン)。
名手が更に極めるとジェフベックの様にピックなんぞは捨て去ってしまうのか。
非道いカバー
この歌唱力でよくこの曲をカバーしようと思ったもんだ。舞台に立ってこれを歌うからには眼下の信者を酔わせなきゃだめだってのに自分が白日夢に酔い痴れてどーする。
こんな自己満足でもせめて下の様にちゃんと移調すればまだマシだったかも。
In C major
この人は曲の音域と自身の声域をよく辨えている。双方を斟酌してキーをCに移調(一音下げ)。
小指をビヨーンと伸ばしてAm/Gを事も無げに押さえ、ベース音をはっきり鳴らしている。ヘタレの私ならAm7で代用する所。
補遺 10/4
本作の作詞にはカットアップが使われた(と言われる)。
恐らくこのラインはその事実に言及している。
And I’m busting up my brains for the words
俺は詞を得るのに脳を破裂させている
すると前行の pink monkey bird は正にそのコラージュで生まれた言葉なのかも知れない。
また、moonage daydream を撞着表現と見なしたが、夜に見る筈の夢を日中に見てしまう daydream 及び日本語の白日夢/白昼夢という言葉自体がそもそも矛盾を含んでいると言える。
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