2016年11月11日に発表される第12作アルバム 57th & 9th に収録予定。
I Can’t Stop Thinking About You に続く第2弾先行シングル。
50,000
(Sting)
A-D
F C
One more for the list of those who’ve already fallen.
Another one of our comrades is taken down,
Like so many others of our calling.
鬼籍にまた一人
仲間のもう一人が倒れる
他の多くの同業者を追う様に
Or we sing his songs in some sad tribute,
While the tabloids are holding a story of kiss and tell,
That he’s no longer able to deny or refute.
亡き人の歌を哀傷して歌う一方で
タブロイドは口の無い故人の
暴露話を握っている
And every word he ever wrote reflecting back to him.
そして彼の書いた言葉はことごとく本人へと折り返し手向けられる
And the lights sweeping across a sea of 50,000 souls we’d face.
A serious drug that you could never kick,
Or one that you couldn’t imagine you’d ever replace.
五万の聴衆の海を照らし横切るライト
断ち得ぬ重篤な薬禍
それはとても代わりがあるとは思い及ばなかったもの
Secured only to a bass line and a snare drum beat.
But really what did any of it mean?
When there’s a higher philosophy in reflection and defeat.
その凧糸はベースラインとスネアドラムビートに繋げられていただけ
だが実際それは何を意味し得ただろうか
反省や挫折にこそ高次の哲学があるというのに
And every word he ever wrote reflecting back to him.
Still believing that old lie, the one that your own face betrays,
A D A
Rock Stars don’t ever die, they only fade away.
その詞はそのまま歌い手へと帰って行く
昔の嘘を今でも信じている、自分の顔に書いてある嘘を
ロックスターは死せず、ただ去り行くのみ
F C6 F C (x2)
Inside this prison I’ve made of myself.
I’m feeling a little better today,
Although the bathroom mirror is telling me something else.
自分で設えたこの牢屋の中
最近は少しは気分が良くなった
風呂で鏡を見ると別の気分になるけれど
The unhealthy pallor of a troubled ghost.
Where did I put my spectacle case?
I’m half blind and as deaf as any post.
悩める亡霊の不健康な蒼白
眼鏡ケースどこにやったっけ?
殆ど目は利かず、耳の聞こえざること柱の如し
We create the gods we can and gift them immortality.
Still believing that old lie, the one that your own face betrays,
A D A
Rock Stars don’t ever die, they only fade away. D
神を創造し永遠の命を与えるのは我々自身
昔のあの嘘を今でも信じている、自分の顔に書いてある嘘を
ロックスターは死せず、ただ去り行くのみ
A-D
バースのコード進行は、拾ったギターの音を頼りに当初 F C6 F/C C/G と見なしていた。これは聞こえないベース音を脳が勝手に補正したんだか勘違いして下降ベースライン F E C G を認識したから。ところがイヤホンで聞くと、スティング本人が鳴らしているのであろうベース音 F C (E)F… がいともはっきり聞こえるんでやんの。パソコンの音なんてこんなモンだろうとずっと見くびって(聴きくびって?)いた己の愚かさよ。
詞は sting.com より引き写し。実際の歌唱にほぼ違わぬが、A serious drug that you could never kick の that は発声していない(文意構文に影響無し)。
句読点は作者スティングの自書か(文が完結せぬ所もあるが)。
彼は本作を同業の故人への手向けとする一方で自照してもいる。
はっきりと drug と amphetamine(覚醒剤)という言葉を持ち出しているが、本人がやっていたのは大麻(ま、本人の言を信じればの話)。
彼の言う tool(道具)としての薬物利用については大いに共感する所があり、こと医療利用に限れば私も似た考えを持つ。
興味おありの向きはこちらを。
We flew like kites 凧の様に飛んだ
これは as high as a kite (酒や薬で酩酊して)という言い回しになぞらえている。
that old lie には中島みゆきの言う「永遠の嘘」に近いものがあろうか。
ただスティングはその嘘をつく神の正体は君や僕と何ら変わるものではないと言い切る。
スターやアイコン(象徴)が持つこの神秘性の(恐らく部分的な)否定は、過日の天皇の声明に通じるものを感じる。
ともすれば盲信の対象となり兼ねぬロックスターや(象徴)天皇が自身の在り方に自ら疑問を呈し、より現実的な姿勢を示す。これは自虐などでは勿論なく、自身に眼差しを向ける大衆への建設的な提案に他ならない。己の身を挺した啓蒙とも言えようか。
日本国の神たる天皇のこうした考えの表明には世の多くの国家元首や宗教指導者もたまげたんじゃなかろうか。
「え、アンタ、それ言っちゃうの?」とばかりに。
the tabloids(タブロイド)の件はボウイの Dollar Days の magazines(雑誌)の件にスティングが触発されて書いたのだろうと勝手に合点。
ただ彼らがタブロイドや雑誌の暴露話や憶測記事に幾ら難色を示そうと、それらのメディアの存立を担保するのが大衆の支持である限り、本当はその矛先は直接ではないにせよ彼らのファンベースたる大衆に向いている。そしてボウイにせよスティングにせよ、彼らの名を不特定多数に売るのに一役も二役も買っているのがそれらのメディアであるのも紛れも無い事実。
A serious drug (that) you could never kick
この kick は、(習慣を)断つ、という意味だが、それよりも eliminate を使った方が良かった。然すれば四行全てに脚韻が押せていた。
私は思い上がりが激しいのでロックスタースティングの詞を添削してやりました。
鏡の件、スティング本人は皺や充血した目が気になる様だが、彼の整形した鼻が何か変になってきた事の方が私はよっぽど気になる。
私は意地が悪いのでロックスタースティングの詞の中身にもケチを付けてやりました。
ただこれは加齢による体の衰えと、更にはその先に否応なく横たわる死を意識せずにはおれぬ事を表わしているのだろう(当たり前)。
We’re all as mortal as can be.
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