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歌詞和訳 David Bowie – Fame コード

1970s

1975年発表の第9作アルバム Young Americans の最終曲。
北米で大ヒット、米国とカナダで1位を記録。しかし本国英国では17位止まり。

Fame

(David Bowie, Carlos Alomar, John Lennon)

Fm Cm Bb7
F7(#9)


F7(#9)
Fame, (fame) makes a man take things over
Fame, (fame) lets him loose, hard to swallow
Fame, (fame) puts you there where things are hollow
Fame (fame)
名誉、それを求めて人は何でも引き受けてしまう
名声、そのせいで節操も無くなるから、信用も置けなくなる
有名になったって物事が空疎な世界に身を置くことになるだけ
名誉


Bb7
Fame, it’s not your brain, it’s just the flame
Bb7 F7(#9)
That burns your change to keep you insane (sane)
Fame (fame)
変化を印象付けるのはちゃんとした考えでなく
炎の様な激情で、そのせいで正気でいられはしない
名声


F7(#9)
Fame, (fame) what you like is in the limo
Fame, (fame) what you get is no tomorrow
Fame, (fame) what you need you have to borrow
Fame (fame)
好きな物はリムジンの中
未来など無く
本当に必要な物は借りて来なければならない
名誉


Bb7
Fame, “Nein! It’s mine!” is just his line
Bb7 F7(#9)
To bind your time, it drives you to crime
Fame (fame)
「いや!これは俺のだ!」というのが口癖
時間は限られ、犯罪へと駆られてしまう
名声


Fm Cm Bb7
F7(#9)


F7(#9)
Could it be the best, could it be?
Really be, really, babe?
Could it be, my babe, babe?
Could it, babe?
これで一番いいのか?
本当?本当にかい?
これが最高?ねえ?
本当?


F7(#9)
Is it any wonder I reject you first?
Fame, fame, fame, fame
Is it any wonder you are too cool to fool?
Fame (fame)
真っ先にお前を拒否るが何か?
名誉
お前がカッコ良すぎてバカに出来ないのも道理
名声


Bb7
Fame, bully for you, chilly for me
Bb7 F7(#9)
Got to get a rain check on pain (pain)
(Fame)
お前にゃいいだろうが、俺は御免だ
苦痛を先延ばしにするものを手に入れなきゃな
名誉


F7(#9)
Fame, fame, fame, fame, fame, fame, fame, fame
Fame, fame, fame, fame, fame, fame, fame, fame
Fame, fame, fame, fame, fame, fame, fame
Fame
名声


What’s your name?
名前は?


So much pain
多大なる苦痛


作曲クレジットに名を連ねるレノンがバッキングボーカルもやっている。
大ヒットはレノンの名に負う所もあるだろう。彼の fame をボウイが利用した、という見方は意地悪すぎ?

本作は当時のマネジャーのトニーデフリーズへの怒りを歌ったものだと後年ボウイ本人が認めている。
が、そんな特殊な背景を詞から酌めはしない私を含むフツーのリスナーが本作をもっと一般化した教訓めいたボウイの名声観と取るのも無理からぬ事ではあろう。

上記の詞は原盤の歌唱を基にしたものだが、例によって(?)ボウイ公式サイトに掲載のものとはいくらか異なる。

nein(独語) = no
公式サイトには mine とあるが、(一つ目は)「マイン」でなく明らかに「ナイン」とボウイは発声している。

bully はここでは、いじめっ子、ではなく形容詞で、素敵な、の意。
Bully for you! = うまいぞ、でかした、すてきだ! = Good for you!

chilly = 薄ら寒い、不気味な

すると bully for you, chilly for me とはつまり good for you, bad for me という事。

fame and wealth (名声と富、名利)などと並べて言われる事もあるが、本作では fame と叫びつつ、端的にはマネジメントとタレントの wealth (= money)の分け前への不満をぶちまけているのだろう。
ボウイは当然ながらこのマネジメントとは袂を分かつが、時は流れて21世紀、デフリーズは税逃れや訴訟で巨額を失っている。この報はボウイの耳にも入っただろうが、ざまー見ろ守銭奴め!と思ったかどうかは知る由も無い。
ファンは大概タレントの味方だからマネジメントの罪を取り立てるだろう。しかし当時、彼にも少なからぬ功があった筈。少なくとも米国で初の1位を獲ったこの代表曲のモチーフにはなったんだし…

rain check = 雨天順延券、延期
「苦痛(pain)を先延ばしにするもの」とはつまり薬物だ、という見方もある。
クスリにでも手を出さなきゃやってらんねーよ、というわけだ。

さて曲について。
イントロとブレイク以外はほぼ単一のコードF7(#9)の上で歌が進行。
このジミヘンコード(Hendrix chord = 7#9)はファンクとも相性がいい。
Bb7に展開する所もあるが、ベース音だけでギターリフは変わらず。共作者でもあるカルロスアロマーのギターが、マイナー構成音(#9)とその半音上のメジャー構成音をクロマチックに行き来し、更には弦のベンドでその間に存在する無限個の音を連続的に鳴らす。そこに生まれるじれったいテンション。
不安定な安定感とでも言うのか、あ、なかなかの至言(手前味噌)。
グルーブってのはつまり得も言われぬこんな感じを表す言葉なのだろう。

So much pain 多大な苦痛
エンディングの呟きは聞き取りにくいが、まあこんな風に言ってる様に聞こえる。
すると、
fame/name/pain
と韻を踏みながら、実は fame の名前(正体)は pain だ、と言うのだろうか。

因に、ボウイの The Man Who Sold The World をカバーした Nirvana のカートコベインは Blew という曲の中で、

Here is another word that rhymes with shame
と韻を踏む言葉がまたひとつ見つかった

と歌っているが、その shame の同韻語は fame を指しているのだろう。

ボウイ死後、彼の皮肉表現やその基となる批判的精神に焦点が当てられる事は少ない気がする(特に日本)。凡庸なリベラル、下手すりゃ libtard の表現するものと混同されかねぬ恐れを勝手に感じているのは私だけ?ただの博愛のスターなんかじゃなく、況して聖人なんかじゃ… ま、いっか。

Fame ’90

Duran Duran

ボウイやイギーポップのエンジニアも務めたコリンサーストンによるプロデュース。

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