1983年発表の第2作アルバム Colour by Numbers 所収。
Black Money
(O’Dowd, Moss, Craig, Hay)
Do you deal in black money, do you deal
Do you deal in black money
Do you deal in black money, do you deal
Standing right behind a shadow of devotion
Somebody else’s life cannot be mine
どんな感情だって消し去ってしまうもの
他人の人生なんて自分のものにはなり得ない
And they don’t love you in return
When you love someone
You’ve got money to burn
それでもその誰かが愛してくれないなら
そんな時には
大金を使えばいい
Do you deal in black money, do you deal
Do you deal in black money
Do you deal in black money, do you deal
Magic potions, won’t you save them for dreamers
Somebody else’s life cannot be mine
魔法の薬、そんな話は夢想家に任せるよ
他人の人生なんて自分のものにはなり得ない
And they don’t love you in return
When you love someone
You’ve got money to burn
でも愛されないなら
そんな時には
お金がある
Do you deal in black money, do you deal
Do you deal in black money
Do you deal in black money, do you deal
I’ll love you again but you must be mine
Give me some love but don’t waste my time
愛をあげる、でも君は僕のものになるんだよ
愛をおくれよ、時間が無いんだ
And they don’t love you in return
When you love someone
You’ve got money to burn
それでもその誰かが愛してくれないなら
そんな時には
大金を使えばいい
Do you deal it, anytime
いつでもいいよ
Standing right behind a shadow of devotion
Somebody else’s life cannot be mine
どんな感情だって消し去ってしまうもの
他人の人生なんて自分のものにはなり得ない
And they don’t love you in return
When you love someone
You’ve got money to burn
でも愛されないなら
そんな時には
お金がある
Do you deal in black money, do you deal
Do you deal in black money
Do you deal in black money, do you deal
受け取ってみる?
I’ll love you again but you must be mine
Give me some love but don’t waste my time
Don’t wast my time…
愛をあげる、でも君は僕のものになるんだよ
愛をおくれよ、時間が無いんだ
僕の時間を無駄にしないでおくれよ
Give me some love but don’t waste my time
I’ll love you again but you must be mine
相手の都合も心情も一顧だにせぬ、高圧的な、もっと言えば暴力的な要求。
作詞者/歌唱者ボーイジョージは後年、ここに流露していた暴力性が高じたのかは知り得ぬが、監禁の科でお縄を頂戴してお務めしている。
と、こう書いた所で彼を法や倫理なんかの規範に照らしてあーだこーだ言う気は更々無く、寧ろ彼が一人の人間として、或はゲイとして、偽らざる真情を簡明直截な言葉で詞にしたため、そして歌い手としてそれを明け透けに歌い上げていた事実をこそ顕彰したいのです。これは常人の憚る所だろう。この詞は兎に角ちょっとスゴいんです。
Do You Really Want to Hurt Me 同様、Do you… と歌い出して相手の出方を窺いながら牽制。
実質的にはボリュームの少ない詞をリフレインで倍増してこれでもかと繰り出す。時に淡々と、そして切実に訴え掛ける。この切実さは暴力性の罪責をも帳消しにし得る(かも)。ヘレンテリーの喚きハモ(筆者造語)が加勢すれば鬼に金棒。
マッカートニーは Can’t Buy Me Love なんてキレイ事を言ってたけど、僕は買ってみせるさ!
と思ったかどうかは知らないが、湧き出す思いはもう止まらない。
アイリッシュクイーンのド根性、ここに極まれり。
今となっては周知の事実の、ジョンモスとの情事(ジョージだけに)。尤も当時は聴き手/ファンの与り知らぬ所。その史実を加味すれば本作は時を越え俄に鮮色を帯びる。
しかしそんな特殊な歌も少し見方を変えれば再びまた別の一般論になり得る。つまり、秘めたる強烈な皮肉の切っ先を実は我々聴き手にも向けていたのかも知れず。
それは、ただの開き直りでも露悪でも脅しでもない、魅惑の美声に紛らせた、ロマンチシズムに浮足立つ者への冷や水。
同時期の Madonna の Material Girl にも一脈通ずるだろうか。あっちはあっちで分かり易くて痛快だった気がする。
ならば、権力や名声や金よりも大事なのは愛なのさベイベー!みたいな数多の空疎なラブソングへのアンチテーゼでもあったのだろうか。
いやいやそれともやっぱただの悪魔の囁き?
じゃあ彼の言う愛とはそもそも何ぞやって話になるかも知れないけど、
Won’t you save them for dreamers
それもロマンチシストに任せてしまえばいい。
This song, this song, all about, real love, love they cannot buy, with or without black money.
次の歌は、真の愛の歌、ブラックマネーであろうとなかろうと買えない愛の歌。
へ?マッカートニーと同じ立場?ややこしい事を仰る。
何にせよ、ヘレンテリーはやっぱ不可欠。
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