1993年発表の第3作アルバム In Utero 所収。90年に書かれた歌。
Dumb
(Kurt Cobain)
*半音下げチューニング
G C
But I can pretend
The sun is gone
But I have a light
The day is done
But I’m having fun
I think I’m dumb
Or maybe just
E
happy
G E
Think I’m just happy (x3)
G
同じ様な振りなら出来る
陽は沈んじゃった
でもライトがある
一日も終わり
でも楽しんでる
俺ってニブいんだろうな
それともひょっとして
これが幸せってヤツかも
俺って幸せなんだろうな
But I have some glue
Help me inhale
And mend it with you
We’ll float around
And hang out on clouds
Then we’ll come down
And have a hangover
Have a hangover (x3)
でもいい接着剤があるから
吸い込むの手伝ってよ
折れた心も一緒に直そう
フワっと浮かんで
雲の上に漂う
そしたら降りて来て
二日酔い
悪酔いが抜けない
C
Fall asleep
Wish away
Soul is cheap
Lesson learned
Wish me luck
Soothe the burn
Wake me up
眠りに落ち
夢に逃げる
魂なんて薄っぺら
学んだ教訓
力を貸してね
やけどを癒して
眠りを覚ましておくれ
→(verse 1)
G C
I think I’m dumb (x6)
E
表題 dumb の原義は唖、そこから愚鈍の意を持つに至る(唖者が愚鈍との見立て自体は実に浅はかでそれこそ愚かだが)。
glue = 接着のり
ここでは、心を mend(修繕)する接着剤と、inhale(吸引)して float(フワフワ)する為のもの、の両義を持たせている。
後者は要は「アンパン」。ただもっと強い吸引薬物をも暗示しているのかも知れない。
(Now I Wanna Sniff Some Glue なんていうラモーンズの歌もある)
come down
雲の上から降りて来る、と、薬が切れてシラフになる、のこれまた両義。
hangover = 二日酔い(だけど酒によるものに非ず)
wish away = 何も気にせぬ素振りをする、現実逃避をして何かに夢中になる
作者コベインの弁(強調は引用者)。
That’s just about people who’re easily amused, people who not only aren’t capable of progressing their intelligence but are totally happy watching 10 hours of television and really enjoy it. I’ve met a lot of dumb people. They have a shitty job, they may be totally lonely, they don’t have a girlfriend, they don’t have much of a social life, and yet, for some reason, they’re happy.
Melody Maker, August 21, 1993
easily amused は、まんま All Apologies の詞にも登場する文言。
そして両方の歌に使われる言葉に the sun がある。遍く万人を照らす太陽を社会通念のメタファーとして持ち出しているのだろう。
その一方で、自身にはライトがある、とは本作の詞(I have a light)。恐らくこれは Smells Like Teen Spirit の一節 with the lights out の light と同じ意味。
太陽が沈んだ暗中でも自身のライトで照らせる、というのはつまり、外部の参照すべきものに頼らず独自の考えでやっていける、という事。
上の弁の中では intelligence がこれに近かろうか(light に因めばこれに当てる訳語は「聡明」がピッタリ)。
愚鈍と断じながら、それで幸福だ、とも見なす。
ならば、Sappy みたいな幸福論?
でも上に引用した That’s just about (いやあ、簡単な事だよ)で始まる本作についての作者自身の説明もまやかしかも知れず…
バースのコード構成は I-IV-III-VI で、これは Smells Like Teen Spirit に同じ。
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