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歌詞和訳 The Smiths – Nowhere Fast

1980s

85年発表の第2作アルバム Meat Is Murder 所収。

Nowhere Fast

(Morrissey, Johnny Marr)

I’d like to drop my trousers to the world
I am a man of means, of slender means
Each household appliance
Is like a new science in my town
世界に向けてズボンを下ろしてやりたい
僕は資産家、なんかじゃなく
家電製品なんてどれも
僕の町じゃ先端科学みたいなもの

And if the day came when I felt a natural emotion
I’d get such a shock I’d probably jump in the ocean
自然な感情を覚えた日には
あまりのショックで海に飛び込むんじゃないかな

And when a train goes by it’s such a sad sound
No, no, no, no, no…
It’s such a sad thing
列車が通り過ぎるととても悲しい音がする
ああ
それはとても悲しい事

I’d like to drop my trousers to the Queen
Every sensible child will know what this means
The poor and the needy
Are selfish and greedy on her terms
女王に向けてズボンを下ろしてやりたい
聡い子供ならこれがどういう事か分かるはず
求めるだけの貧民は
陛下に言わせりゃ自分勝手で欲張りなんだそうな

And if the day came when I felt a natural emotion
I’d get such a shock I’d probably jump in the ocean
自然な感情を覚えた日には
あまりのショックで海に飛び込むんじゃないかな

And when a train goes by it’s such a sad sound
No, no, no, no, no…
It’s such a sad thing
列車が通り過ぎるととても悲しい音がする
ああ
それはとても悲しい事

And when I’m lying in my bed
I think about life and I think about death
And neither one particularly appeals to me
ベッドに横になっていると
人生について考え死について考える
でもどっちも特に訴えるものは無い

And if the day came when I felt a natural emotion
I’d get such a shock I’d probably lie
In the middle of the street and die
I’d lie down and die
自然な感情を覚えた日には
あまりのショックで多分僕は
通りの真ん中に寝転がって死ぬんじゃないかな
倒れて死ぬだろうね

* 曲は6:13から

4:34
インタビュアーが持ち出した詞の一節 Any young man を作詞者モリシ本人がにこやかに Any sensible child と訂正(だけど本当は Every sensible child)。エニじゃなくてアニに近いこのモリシの any の発音にシビれる旨のコメントが散見。恐らく米国人の意見だろうけど、彼らは英国発音をカッコいいと感じるのが半分、snob だと敬遠するのが半分(私見)。

近々発表されるモリシのアルバム Low in High School のジャケ写には Axe the monarchy (君主制を終わらせろ)の文字。

30年前のこのインタビューの中でも monarchy への不満を明言している。ただ詞中の女王が口走った貧民の件は中世の話。(女)王がそのまま為政者だった頃の話。今の英国は constitutional monarchy (立憲君主制)で、言うまでもなく政体としては殆ど別物なんだけど、彼は批判の為にわざと混同して今の王室にも横暴のイメージを付けようとしているのだろうか。

自殺の助長に話が及ぶと、ユーモアだと弁解しているが、この手の詩句に過敏になって噛み付く者にも一理はあるだろう。作者自身が単なるユーモアと言い切るのを逃げ口上と論難も出来る。sensible child よりも sensitive child (傷付きやすい子)の方が恐らく数は多く、その中にはあらぬ影響の受け方をする者も一定数いるだろうから。

本来の順序としては事象を切り取って便宜的に名を与えたのが言葉というものだが、逆に言葉や概念の存在自体が当該行為を誘発する事があるとするならば、例えば自殺という言葉自体を社会から完全に葬り去ればその行為も減るのかも知れない。しかしそんな事は実際には不可能だからやはり言葉狩りみたいな表現の封殺に本質的な意味意義は無いだろう。
メディアによるこの手の指摘をモリシは lazy journalism (怠慢なジャーナリズム)、surface opinion (皮相的な意見)と喝破。私が洋楽ジャーナリズムについて思う所と全く一致… うひひひひ。
ちょっと前に流行った「不謹慎狩り」は批判/皮肉の文脈の中で使われててとてもいい新語だと思ったけどあまり聞かなくなったなあ。それを飯の種にしてるメディアがそれこそ封殺放逐した?

get[go] nowhere fast = うまくいかない
或は、物(事)を主語にして get 人 nowhere fast という言い方もある。
Nowhere Fast に邦題を付けるなら、「二進(にっち)も三進(さっち)も」といった所か。

さてモリシの言う a natural emotion とは?

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