11月17日発表のアルバム Low in High School に収録(予定)。
I Wish You Lonely
If only for one day
So that you might see routine for me
Since the day I was born, born
たとえ一日だけであろうと
そうすれば僕が生まれた、生を受けた日から続く
僕の日常が君にも分かるかも知れないから
Of everything you demand
Or you want or you need
And to hell, to hell
With everybody else, everybody else
全て求めるものだけを
ただ望むもの、必要な事だけを
考えていればいいさ
他の者達の事なんて知った事じゃない
Remember how I can’t sleep
Or if ever I do, an earthquake
An earthquake couldn’t agitate, couldn’t agitate
僕がどれほど不眠症か忘れないでおくれよ
だけどもし僕がよく寝ている事があるならば
その時は地震にさえ心を乱される事はないだろう
Who gave their life upon command
Of monarchy, oligarch, head of state, potentate
And now never coming back, never coming back
君主制や元老、元首、支配者の号令一下
命を投げ打った彼らは
もう二度と戻らない、帰っては来ない
Who gave their life upon command
Of romance gone wrong, the same old glue
And never coming true, never coming true
こじれたロマンに従わざるを得ず命を落とした
それは相も変わらぬベタな夢物語
そんなのが実現するはずなんて無いのに
Who gave their life upon command
Of heroin, heroin, heroin, heroin, heroin
And never coming back, never coming back
数多の愚か者達
ヘロインで命を捨てた愚か者達
二度と帰っては来ない者達
Like the last tracked humpback whale
Chased by gunships from Bergen
But never giving in, never giving in
最後まで決して降参しなかった
ザトウクジラの様に
君よ孤独であれ
生まれてからずっと孤独がルーティーンだと嘯く主人公。
作者モリシは死ぬまで自身の物語を生きる気でいるのだろう。それはそれで一つのロマン。
それこそが romance gone wrong だとなじる者もいようが、そんな事で彼の覚悟が揺らぐ事はまず無さそう。
「希望」を掲げた我が国の都知事閣下なんかもロマンをこじらせちゃった様で… (余談)
to hell with ~ なんて糞食らえ!
地震に心を乱されない、とは、揺すられても目を覚まさない、つまり死を意味するのだろう。然るに、生きている間は不眠だ、と言う。
懊悩煩悶の毎日、そしてそれは lonely に同義。
不断の思考/苦悩こそが彼の人生。
oligarch = oligo-(少数) + arch(統治者)
(オリゴ糖やオリゴマーのオリゴ)
monarch = mono-(一つ) + arch(統治者)
(モノポリーやモノマーのモノ)
* 母音で始まる語に接続する場合、連結形末尾の母音は脱落する
おっとしかし詞中の語は monarchy = 君主による統治の状態 = 君主制
potentate 等の人を表す語の同列に制度を置くのは意味論的齟齬、制度そのものは command(命令)を出せない…
という正論がこの作詞者に通用するとは思えないのでこの難癖は取り下げます。
ただ余程 monarchy が嫌いなのだろう事は伝わって来る。
因に頭を an-(無)に差し替えればアナーキー anarchy = 統治者不在、つまり無政府状態、無秩序となる。これは昔の(今も?)パンクが掲げた大義、ロマン。
歌い出しは前作 Spent the Day in Bed に似ていると感じた。
コード展開はあっちがEbm → Dbで、対する今作はそれを1音半上げ移調したF#m → E だからまあ一定の互換性があるのも道理(こっちは行進曲みたいでリズムこそ違え)。
heroin → heroine → Queen
上に同じく、薬は無生物だからここに入るべきは人、と考えれば、作者が聴き手にこんな連想を促しているという想像も出来る。勿論憶測の域を出るものに非ず。
humpback whale = ザトウクジラ
彼は日本の鯨食文化にはケチつけてないのかなあ?
もしも面会の機会あらば私は猫好きの彼に Cat food is murder と言い渡すつもりでいます。
My parents are a handful
僕の親は手に余る
詞中には登場せぬ文言がビデオの幕を開け、そして閉じる。
世代間の齟齬/反目を示すこんな言葉で若者への支持を暗に表明。うーん、ズルい奴め。
追記
公式(と思しき)対訳
https://t.co/CF4bjJ5dhq pic.twitter.com/8Yns9sY9p8
— Morrissey (@officialmoz) 2017年11月16日
訳文に散見する不自然な接続から察するに恐らく機械翻訳による訳出。
これを勝手にGoogle 翻訳と見なし、またこの機に乗じて、過去数回やった検証をここでもやってみます。
但し、改行や読点の有無等の、英語原文の詳細は知り得ないので、入力されたであろう原文を上掲の英詞に同じものと想定した上で筆を進めます。なんでこんなメンド臭い前置きをするかっちゅーと、過去に見た限り句読の切り方がマシンの訳出に少なからぬ影響を与えている事が分かったから。
Google 翻訳の妥当性検証 #4
routine を日常と訳出しているのは拙訳と同じ。
私はこの原語を、使命感を持って事にあたる毎日、と取り、訳語にもその意味合いを持たせるべく思案するも恥ずかしながら相応しい言葉を捻り出す事は出来ず、仕方なく日常という無味な訳語を当てるに至った。
ただこれはまあ訳出というより解釈に近い作業(そんで今も浮かばない)。
Or if ever I do
この従属節は訳出にあたって丸ごと捨象されている。これって実は(今の、そして無料版の)Google 翻訳には珍しい事ではない。構文の把握の不完全なまま逐語的に訳して日本語としておかしなものを出力するより、訳文が全体としてこなれたものになる事を優先している可能性あり。現状では完全性こそ担保されていないが、ある意味とても高度なアルゴリズムを備えている事が窺えはする。
monarchy → 君主
本編にて指摘した齟齬に対し意味論的な修正をこのマシンが加えたのだとすればあな恐ろしや…
これ、人がやったんじゃね?と疑義を表明しておく。
或は単に monarch と入力ミスをしたのかも。
never coming back → 絶対に戻るな(命令形)
動詞の分詞を原形に見なしてしまう事もこれまた間々ある。
直前の「そして今は?」も含め、これらは誤訳と断定できる。原文の言葉足らずが影響していよう。
それを文脈に沿って補えば
And now they are never coming back
意味は拙訳の通りで、現在進行でなく未来。
romance gone wrong → うまくいかない恋愛
ここは私は前の墓の件からの流れで、恋愛よりもっと広い(政治的な)理想や幻想と見なし、ロマンと対訳した。
the same old glue → お決まりの接着剤
アロンアルフア?セメダイン?
humpback whale → 猫背のクジラ
今試しに無料版にぶっこんでみても普通にザトウクジラと出てきたけどなあ…
こんな連語なんて、食わされたコーパスにとっくに含まれてる筈なのに、訳出が逐語的。
マシンが作者の猫好きを斟酌した?(なアホな)
振り返って私(人間)の対訳。
表題でもある「君よ孤独であれ」を最初と最後に据えたりなんかして、カッコ良くね?(手前味噌)
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