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歌詞和訳 Steely Dan – Reelin’ In the Years

1970s

1972年発表のデビューアルバム Can’t Buy a Thrill のB面開始曲。73年にシングルとして米11位を記録。

Reelin’ In the Years

(Walter Becker, Donald Fagen)

Your everlasting summer
You can see it fading fast
So you grab a piece of something
That you think is gonna last
But you wouldn’t even know a diamond
If you held it in your hand
The things you think are precious
I can’t understand
君の永遠の夏も
目の前で早々に翳りを見せるものだから
ずっと変わらぬはずのものを何かひとつ
慌てて引っつかむ君
だけど手中にあってもそれが君には
ダイヤモンドだと分かりもしないんだろうね
君が大切だと思うものが
僕には理解できないよ

(chorus)
Are you reelin’ in the years
Stowin’ away the time
Are you gatherin’ up the tears
Have you had enough of mine
Are you reelin’ in the years
Stowin’ away the time
Are you gatherin’ up the tears
Have you had enough of mine
年月を巻き取って
その時間をしまい込むつもり?
泣かした人の涙を寄せ集めたりして
僕の涙は十分に堪能した?
年月を巻き取って
時間をしまい込むつもり?
涙を集めてんの?
僕の涙はもう十分?

You been tellin’ me you’re a genius
Since you were seventeen
In all the time I’ve known you
I still don’t know what you mean
The weekend at the college
Didn’t turn out like you planned
The things that pass for knowledge
I can’t understand
自分は天才だって
17の頃からずっと言ってたね
君を知ってこの方
まだ君が本当に言いたい事が分からない
大学での週末は
君の思い描いた様にはいかなかったね
知識としては通用する事も
僕には理解できないよ

→(chorus)(guitar solo)

I’ve spent a lot of money
And I’ve spent a lot of time
The trip we made to Hollywood
Is etched upon my mind
After all the things we’ve done and seen
You find another man
The things you think are useless
I can’t understand
たくさんお金も使い
時間も使ってきた
二人で行ったハリウッド旅行は
僕の心にしっかりと刻まれている
色々経験してきたけど結局
君は他の男を見つける
君が無駄だと思うものが
僕には理解できないよ

→(chorus)(guitar solo)

ドナルドフェイゲンが you を主語に据えて現在時制で叙述する時は大概分別臭くて説教染みていて皮肉っぽい(私見)。
本作に関してはその源泉は分かり易い。それは、自身を正当に評価しない異性への歯痒さ、恨みがましさ。

reel in を他動詞句と見なして対訳しているが、reel は自動詞とも取れ、すると「ふらふらよろめく」となる。

after all the things we’ve done and seen
これは副詞節で、端折って言えば after all (結局)に同義。
やった、見た、と訳してしまうと却って混乱を招く。

after all (the things) (that) we’ve done and seen [said and done / been through 等]
こんな風にthat節にはいくつかの言い回しがあり、敢えて逐語的に訳せば「言ったり見たりと色々経験してきた全ての後で」となる。
でも結局(あっ、先に言ってもーた)、これに当てる訳語は「結局」の一語に集約してしまっても十分に妥当。
逆に、after all という副詞句はこの長ったらしい節を縮めたもの、と見なす事も出来る。
さては字足らずの所をこれで埋めたな、と思しき歌詞も散見する(邪推)。

終始皮肉っぽい恨み節を言い募るこの男は、相手を揶揄する事で自身の(愚かな安い)プライドを保っている様にも思える。
何せ自身をダイヤモンドと暗に言ってんだから中々にイタい奴かも知れない。
ならば相手が find another man 別の男の所に行っちゃうのも無理からぬ事。
こうなると、相手に不平を言っている様で実は己のアホさを曝け出して自嘲している歌とも取れそう。或は自身を棚に上げて相手の非ばかりをあげつらう者への皮肉。

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