78年発表のデビューアルバム Outlandos d’Amour のB面開始曲。
79年の再発時に英2位を記録するヒットシングル。
Can’t Stand Losing You
(Sting)
Dm Gm Dm Gm Dm Gm Dm Gm
And I guess it’s all true what your girl-friends say
That you don’t ever want to see me again
And your brother’s gonna kill me and he’s six feet ten
君の女友達が噂してる事は多分本当だろうね
君が僕の顔なんて二度と見たくないって事や
君の兄貴が僕を殺すって息巻いてる事
それからその兄貴が身長2mの大男だって事
C G C Asus4
But I’m not prepared to go on like this
だけどこんな風になるなんて
心の準備が出来てないよ
Gm
I can’t, I can’t, I can’t stand losing
Asus4
I can’t, I can’t, I can’t, I can’t stand losing you
Dm Gm Dm Gm
I can’t stand losing you
I can’t stand losing you
I can’t stand losing you
諦めきれないよ
And my L.P. records and they’re all scratched
I can’t see the point in another day
When nobody listens to a word I say
それからLPも、全部傷が付けられてたけどね
誰も僕の言う事に耳を貸さなくなった日には
意味なんて見出せない
But to carry on living doesn’t make no sense
もう生きていく事は何の意味も成さない
Gm
I can’t, I can’t, I can’t stand losing
Asus4
I can’t, I can’t, I can’t stand losing
Bb
I can’t, I can’t, I can’t stand losing
Gm
I can’t, I can’t, I can’t stand losing
Asus4
I can’t, I can’t, I can’t stand losing
君を諦めるなんて出来ない
(interlude on Bb9 C9 Bb9 C9)
And you don’t care, so I won’t cry
But you’ll be sorry when I’m dead
And all this guilt will be on your head
気にもかけないと思うから、僕も泣かないよ
でも僕が死んだら悔いるだろうね
全部君のせいなんだから
But I’m too full to swallow my pride
もうこれ以上プライドは飲み込めない
Gm
I can’t, I can’t, I can’t stand losing
Asus4
I can’t, I can’t, I can’t stand losing
Bb Gm Asus4
I can’t…
C Asus4 Bb
C Asus4 Bb
C I can’t stand losing you Dm Gm…
諦めるなんて出来っこない
耐えられない…
sting.com には、発表当時の本作に対する音楽各誌による好意的なレビューが載っている。
そんな中…
Review from New Musical Express
“Great name for an outrageous new wave band. Lousy name for a feeble white reggae act. Last observed proceeding in the direction of the waste bin. Not worth apprehending.”
NME誌による酷評も堂々と掲載。無論当て擦りだろう。police(警察)に掛けて、逮捕と理解の両義を持つ apprehend を使ったシャレが却ってサブくなってしまった。
スティングの粘着性の片鱗が見えてオモロい。
ま、このケチョンケチョンの酷評にしてもBBCによる放送禁止歌指定にしても、きっと策士のコープランドとスティングの思う壺、渡りに船ってなモンだろう。
こちらは作者スティングの弁(抜粋)。
it’s a song about a teenage suicide, which is always a bit of a joke.
コープランド本人が首に縄を掛けるジャケットのカバーアートはジョークの一言で片付けられてもなあ。
BBCの措置は適正と言える。ただ一方、人間の激烈な情念の末路を表現したかったのは理解できる。
ま、この写真の通り、コープランドはイカれたドラマーなんで…(この日本語を入れ知恵した奴もアホ)
スティングはスティングでビデオの中では蝶ネクタイにデカい丸メガネなんてかけて、オタクかガリ勉の扮装のつもりなのだろう。でもアタシゃ知ってるよ、スティングさん。こんなの他人事やフィクションじゃなくって、アンタ自身の情念を表したものでしょ?
ブリッジの go on like this の所は C Asus4 じゃなくてどうも Asus4 A7 とやりたくなる。こっちの方が歌い易い気がする(余計なお世話)。
サビのメロディは同じものをずっと繰り返す。しかしコードは循環的に変遷する。
このコード進行もスティングが付けたのだろうか。
コード伴奏とそれに準じたハモに釣られず一定の節を繰り返し歌うのは結構大変だろうと察する。
混沌の間奏の間に考えを巡らせ意を決したのか、第3バースからは恨み節、と言うか殆ど脅迫。
ここへ来てコードは Dm 一発。と言うかシンセの単音のクレッシェンドで煽る。相手に迫る(こわっ)。
ポリスは音がスカスカでつまんないって人がいるけど、一音一音よく練って意味を持たせた演出がうまく出来てるって思うんだけどなあ。スカスカとは裏を返せば余計なものをベタベタ付けてないって事。
アウトロでは、しつこいまでの循環コードに C が加わる。
でも僕の思いは変わらないとばかりに、ずっと同じ節でサビを繰り返す。もはや怨念。
I’m too full to swallow my pride
今までは自尊心を傷付けられても周囲に訴える事なくすんでの所でずっと飲み込んできた。
その飲み込んだプライドでもうお腹はパンパン(too full)。だから今度ばっかりは自分の思い通りやらせてもらうよ、てなトコでしょう。
この様に swallow には、表情や言動に出さずにこらえる、という意味がある。
そう言や、嚥(咽)には、飲み込む、の意があり、口偏を外した燕は、ツバメ。
で、swallow(古英語由来)にも同様の両義がある。これって偶然?
両地域とも、ツバメが先で、ツバメ(の子)が餌を飲み込む様子からその派生義を持つに至ったのだろうか?
その類似すら無いとしたらものすごい偶然だ… と思って調べてみたら(q.hatena)、全く別の言葉 schwelgen(飲み込む)と Schwalbe(ツバメ)がそれぞれの起源で、たまたま同じ swallow という綴りに落ち着いたそうな。ただそこの説明には、ギリシア語が起源、とあったが、恐らくドイツ語の誤りだろう(ギリシア語が起源なら辞書に古英語由来とは記されない筈)。
同一の綴りに落ち着く際にはツバメの嚥下からの連想が働いたのかも知れないが(勝手な推測)、何にせよ、偶然の様だ。面白い。
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