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歌詞和訳 The Smiths – Hand in Glove

1980s

1983年発表のデビューシングル。翌84年のデビューアルバム The Smiths に収録。下掲動画の音源はアルバム版。

Hand in Glove

(Morrissey, Johnny Marr)

Hand in glove
The sun shines out of our behinds
No, it’s not like any other love
This one is different because it’s us

手と手袋の様な
僕達の背後から太陽が輝く
そんじょそこらの愛じゃない
これは特別、なんせ僕達だもの

Hand in glove
We can go wherever we please
And everything depends upon
How near you stand to me

一緒に
僕達はどこにでも行きたい所に行ける
君がどれだけ僕の近くにいるか
それが全ての鍵

And if the people stare
Then the people stare
Oh, I really don’t know and I really don’t care

じろじろ見る奴は
見てくるもの
知った事か、どうでもいい

Kiss my shades

僕の影にキスするがいい

Hand in glove
The good people laugh
Yes, we may be hidden by rags
But we’ve something they’ll never have

一緒になって
マトモな人達は嘲笑う
そう、ボロに隠れているのかも知れないけど
僕達は彼らには持ち得ないものを持っている

Hand in glove
The sun shines out of our behinds
Yes, we may be hidden by rags
But we’ve something they’ll never have

僕達二人には
後光が差す
そう、ボロをまとっているのかも知れないけど
僕達は彼らには持ち得ないものを持っている

And if the people stare
Then the people stare
Oh, I really don’t know and I really don’t care

彼らが好奇の目で見るなら
そうさせておけばいい
知った事か、どうでもいい

Kiss my shades

僕の影にキスするがいい

So, hand in glove I stake my claim
I’ll fight to the last breath
If they dare touch a hair on your head
I’ll fight to the last breath

ではグラブを手にはめてここに宣言しよう
僕は最後の一息まで戦う
誰かが君の髪の一本にも触れようものなら
僕は命を賭けて戦ってやる

For the good life is out there somewhere
So stay on my arm, you little charmer
But I know my luck too well
Yes, I know my luck too well
And I’ll probably never see you again
I’ll probably never see you again
I’ll probably never see you again

素晴らしい人生がきっとどこかにあるもの
だから僕の腕の中にいればいいさ、可愛い人よ
だけど僕は自分の運を痛いほど知ってる
そう、運命の事はよく分かってる
だから僕は多分君にもう二度と会うことはない
二度と会うことはないだろう
もう会うことはないだろう


hand in glove の文字通りの意味は、手袋をはめた手、だが、このまま(前置詞を伴わず)副詞の慣用句として使われる。
親密に、グルになって、等の比喩的派生的な意味を持つ。hand and glove も同義同用法。

作詞者モリシはこの句の多義性を本作に利用し、また表題に据えている。
命を賭けて戦う件においては、文字通りの、(ボクシング)グラブを手にはめて、という原義を使っている。これは主語が一人称単数 I となっている事からも分かる。

Kiss my shades
作詞者の造語的表現ではあろうが、恐らく kiss my ass 位の意味。即ち前行の I really don’t care にほぼ同義。
あ、英国流に言えば kiss my arse か。

性的少数者の誇りを高らかに歌い、相手に素晴らしい人生を約束…
と思いきや、所詮はマイノリティに過ぎぬという現実が彼を悲観に導いたのか、最後は弱気を覗かせて幕引き。
デビュー曲なんだし、カッコ良く突き抜けて胸を張って終われば良さそうなモンだけど、一方でこんな逡巡こそがモリシの作詞の妙なのだろう。そしてその筆致は彼のトレードマークとなって行く。
世相が窺える彼の詞は年代記でもある。歌は世につれ…


2023年5月19日、アンディルーク逝去、享年59。

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合掌。

コメント

  1. takagi より:

    和訳を依頼した者です。たった今、読み終えました。
    あそっか、これ高らかに共闘呼び掛けておいて最後は諦めて終わるんだ。
    スミスの歌詞をあまり深く読んだことはないですが、もしかしたら他にも気づいてないことがたくさんあるのかもしれませんね。(もちろん僕は原詩からダイレクトにニュアンスを汲み取ることはできませんが・・・)
    この度はありがとうございました。

    • deni より:

      最後を世の風潮への当て付けと取れば諦めでもないかも知れませんね。すっきり終えず変な後味を残して聴き手に考えさせるのも彼の詞の面白い所でしょうか。
      優柔不断なただのヘタレだろって見方も出来ますが…