歌詞和訳 David Bowie – I’m Afraid of Americans

Earthling,デヴィッドボウイ

1997年発表の第20作アルバム Earthling 所収。
元は95年発表の第19作 Outside のアウトテイクだった。

I’m Afraid of Americans

(David Bowie, Brian Eno)

Uh-uh-uh uh, uh, uh-uh uh-uh-uh
Johnny’s in America
No tricks at the wheel
Uh-uh-uh uh, uh, uh-uh uh-uh-uh
No one needs anyone
They don’t even just pretend
Uh-uh-uh uh, uh, uh-uh uh-uh-uh
Johnny’s in America
ジョニーはアメリカにいる
舵取りもいなければ
誰も誰かを必要ともしない
そんな素振りすら見せない
ジョニーがいるのはそんなアメリカ


(chorus)
I’m afraid of Americans
I’m afraid of the world
I’m afraid I can’t help it
I’m afraid I can’t
I’m afraid of Americans
I’m afraid of the world
I’m afraid I can’t help it
I’m afraid I can’t
I’m afraid of Americans
アメリカ人が怖い
世界が怖い
どうやらそう思わずに
いられない様だ
アメリカ人が怖い
世界が怖い
どうしようもない
アメリカ人が怖い


Johnny’s in America
Uh-uh-uh uh, uh, uh-uh uh-uh-uh
ジョニーがいるのはアメリカ


Johnny wants a plane
Johnny wants to suck on a Coke
Johnny wants a woman
Johnny wants to think of a joke
Uh-uh-uh uh, uh, uh-uh uh-uh-uh
Johnny’s in America
Uh-uh-uh uh, uh, uh-uh uh-uh-uh
ジョニーは飛行機が欲しい
コークが吸いたい
女が欲しい
冗談の一つも言ってみたい
ジョニーがいるのはアメリカ


→(chorus)


Johnny’s in America
Johnny looks up at the stars
Johnny combs his hair down
Johnny wants pussy in cars
Johnny’s in America,
uh-uh-uh uh, uh, uh-uh uh-uh-uh
Johnny’s in America
ジョニーはアメリカにいる
星を見上げ
髪をなでつけるジョニーは
女を車に乗せたい
ジョニーがいるのはアメリカ


→(chorus)


Yeah, I’m afraid of Americans
I’m afraid of the words
I’m afraid I can’t help it
I’m afraid I can’t
I’m afraid of Americans
アメリカ人が怖い
言葉も怖い
自分には
どうしようもない
アメリカ人が怖い


God is an American…
神はアメリカ人…


*公式4kビデオ公開につき差し替え
トレントレズナーのヤギひげもくっきり!

Tin Machine 以降、ボウイの新作を殆ど聴かなくなっていた。
そして97年に Earthling を耳にする。
「ああ、あれだけワクワクして夢中になったボウイは完全に死んでしまった」
そう思わずにいられなかった。
流行に先駆ける、またはそれを取り入れる事がボウイにとって常套手段とは言え、既定のリズムにただ乗っけているとしか感じなかった。此度はケミストリ皆無だと。

今一度聴いてみる…
不穏な無機質電子音ループの中毒性が今では少しは分かる(気がする)。
でもそれがボウイ(とイーノ)との化学反応の産物とは余り思えないし、やっぱ手動演奏音ほどのスリルと高揚は感じない。
… という私の感想なんぞどーでもいいので詞に移ります。

Johnny はアメリカの男の典型的な名(John の愛称)。
英国人にとってアメリカは同根の祖先が大西洋を渡り植民した地。
それでも自身を周りとは異質な者と意識し出すと孤独や疎外を感じるのだろう。そしてそれが募れば恐怖を覚える。

スティングは英国の美徳とされる遺風を毅然と実践して疎外感に抗い、それを Englishman In New York に歌った。
一方ボウイはここではひたすら「アメリカ人が怖い」を連呼し、挙句に「神はアメリカ人」と呟く。
それでもこの二人の英国人音楽家はNYに住み続ける[続けた]。

では本作は英国人ボウイのアメリカ観を表すものなのか。
本人の弁を引いてみる。

It’s not as truly hostile about Americans as say 'Born in the USA’: it’s merely sardonic. I was traveling in Java when the first McDonald’s went up: it was like, 'for fuck’s sake.’ The invasion by any homogenized culture is so depressing, the erection of another Disney World in, say, Umbria, Italy, more so. It strangles the indigenous culture and narrows expression of life.

例えば(スプリングスティーンの)Born in the USA ほどアメリカ人に真っすぐ批判的な歌ではない。ただ皮肉ってるだけ。ジャワを旅していた時にマクドナルド1号店が出来た。「おいおい頼むよ」って感じだったよ。何であれ均質な文化が侵略するのには本当に気が滅入る。またひとつディズニーワールドが例えばイタリアのウンブリアとかに出来るなんて話なら尚更。そんな事では固有の文化が締め付けを受け、生の表現が狭められてしまう。

なかなか詞から直に読み取る事は出来なかった思いだが、ディズニーの件は本作の四半世紀前の Life On Mars? に歌い込まれた一節と無関係ではなかろう。

Mickey Mouse has grown up a cow

ボウイの考えが何十年もの長きに亘って貫かれている事が窺えはする。
ま、ミッキーマウス先輩に言わせれば「今やアンタだって世界中で持て囃される西洋文化の一角を占めるものだろ」ってなトコだろうけど。
ん?マウス先輩?鼠先輩?

何にせよ、これからも少なくとも暫くの間は政治と資本の論理(この絶大な力をボウイは本作で God と呼んでいるのだろう)をよすがに「文化」は広まる。それこそ can’t help it (不可避)。
とは言え、青臭いこんな皮肉交じりの文明批判をボウイの口からもうちょっと聞いていたかった気もする。たとえそれが文明国人の身勝手な感傷を多分に含んでいようとも。
あ、ボウイさん、あなたが死んで1年経ったけど、今んトコまだウンブリアにディズニーワールドは出来てないのでご安心を。