2002年発表の第22作アルバム Heathen 所収。
アルバムジャケ写の文字を uǝɥʇɐǝɥ と逆さに配しているのは、自分が異端と断じた者から見れば自分こそが異端、という、ボウイの多くの歌に垣間見える彼の視座を表している(多分)。
Slip Away
(David Bowie)
Drags his bones to see the Yankees play
Bones Boy talks and flickers gray
Oh, they slip away
ヤンキースのプレーを見に出掛けるウーギー
色の無い顔で言葉を話し動くボウンズボーイ
ああ、彼らが静かに去って行く
Bones and Oogie on a silver screen
No one knew what they could do
Except for me and you
They slip away
They slip away
一度だけだったかも知れない
何をしでかすかなんて僕と君以外は
誰も知らなかった
彼らが去って行く
静かに
Twinkle twinkle Uncle Floyd
Watching all the world and war-torn
How I wonder where you are
Oh
きらきらアンクルフロイド
戦争で荒廃した世界を全て見渡す
君は一体どこにいるのだろうか
ああ
Twinkle twinkle Uncle Floyd
We were dumb, but you were fun, boy
How I wonder where you are
Oh
きらきら光るアンクルフロイドよ
僕らはばかでも、君達は愉快だったよ
今どこにいるんだろう
ああ
Some of us will always stay behind
Down in space it’s always 1982
The joke we always knew
Oh
僕らの内の誰かはいつも居残るものさ
そこはいつも1982年で
おなじみの冗談があって
ああ
C’mon, let’s go
Slip away
Oh
さあ、行こう
抜け出そう
ああ
Twinkle twinkle Uncle Floyd
Watching all the world and war-torn
How I wonder where you are
Oh
きらめくアンクルフロイド
戦争で荒廃した世界を全て見渡す
君は一体どこにいるんだろう
ああ
Twinkle twinkle Uncle Floyd
We were dumb, but you were fun, boy
How I wonder where you are
Oh
きらきら光るアンクルフロイドよ
僕らはばかでも、君達は愉快だったよ
今どこにいるんだろう
ああ
本人による冒頭の曲紹介
This is another new song. It’s about a television hero in America from 70s that myself and Lennon and Iggy Pop used to watch in the afternoons. Crazy guy, and we were very addled and used to love fooling around watching this guy Uncle Floyd. And this song is called “Slip Away”.
次も新曲です。僕とレノンとイギーポップが午後のひと時によく見ていた70年代アメリカのTVの主人公の歌。面白い男で、僕らは心乱され、このアンクルフロイドを見ながらふざけ合うのが大好きでした。ではお聴き下さい、”Slip Away”
NYとNJで放映されていたこのTVコメディ The Uncle Floyd Show をレノンから知り、またイギーもよく見ていたとボウイは語っている。
Twinkle twinkle Uncle Floyd
と
How I wonder where you are
のラインは Twinkle, Twinkle, Little Star (きらきら星)に倣っている。
How I wonder what you are!
あなたは一体何者なんだろう!
Space Oddity の録音にも使った Stylophone をボウイが演奏し曲は終わる。
Uncle Floyd こと、ミュージシャンでもある Floyd Vivino と彼の相棒の腹話術人形 Oogie がスクリーンに映し出される。
上は独ベルリン公演だが、下は米NYロングアイランドの Jones Beach 公演の模様。つまり本作が材を取った番組の放映された、言わば御当地でのお披露目。同じロングアイランドの南岸には Coney Island がありJFK空港がある(Sailing over Coney Island)。
因に、Nassau Coliseum もロングアイランドにある。
1982年は The Uncle Floyd Show の放送エリアが拡大した年で、つまりは人気が拡大していた時期。しかし80年に他界したレノンはもういない。
旧友死友を偲ぶ作者/歌唱者のセンチメントは曲調からだけでも十二分に窺える。
共演者 Polyphonic Spree による、(ボウイをカバーした) Nirvana のカバー
Lithium の children song としての、また sing-along song としての一面を大きく引き出していて面白い。horny のトコの手振りもメチャかわいい。
コメント
さっそくの訳、ありがとうございます。
Uncle Floydって、言わばローカル番組だったんですかね。
どうりで知らないわけだ。
ちなみにこの曲、初出の「Toy」のアレンジも好きです。
今年もよろしくです。
子供向けに見えて実は大人への皮肉のあったりする、ボウイが気に入る事請け合いの(NY/NJローカル)番組です。ま、見た事は無いんですが。
Stylophone も何か随分とノスタルジックです。
安易な連想でストーンズの Slipping Away も取り上げました。こっちも随分とノスタルジック。
こちらこそ今年もよろしくです。