1971年発表の第4作アルバム Hunky Dory のB面3曲目。
Robert Zimmerman はディランの本名。
イントロとバース、そして間奏に使われるAからEへの下降コード進行はディラン曲にも見られるもの。
Song For Bob Dylan
(Bowie)
A G#m F#m E A G#m F#m B
A G#m
Ah, hear this Robert Zimmerman
F#m E
I wrote a song for you
A G#m
About a strange young man called Dylan
F#m E
With a voice like sand and glue
G#m C#m
Some words had truthful vengeance
B A
They could pin us to the floor
F#m G#m
Brought a few more people on
A B
And put the fear in a whole lot more
あなたに歌を書いたんだ
ざらざらしたねちっこい声の
ディランっていう変な若い男の歌でね
彼の詞に垣間見るきっちりやり返す様は
僕達を釘付けにするほどだった
そのおかげで賢くなった人もいたけど
恐怖を植え付けられた人はもっと多くいた
A
Ah, Here she comes, here she comes
D A
Here she comes again
A
[That]The same old painted lady
E
From the brow of the superbrain
F#m
She’ll scratch this world to pieces
G
As she comes on like a friend
A
A couple of songs from your old scrapbook
E
Could send her home again
またまた
あの頭脳集団から
いつもの蝶がやって来た
友達みたいな顔をしてやって来ては
場を滅茶苦茶にしてしまう
あなたの古いスクラップブックにある歌なら
彼女を元通りに出来るだろうに
You gave your heart to every bedsit room
At least a picture on the wall
And you sat behind a million pair of eyes
And told them how they saw
Then we lost your train of thought
The paintings are all your own
While troubles are rising we’d rather be scared
Together than alone
少なくとも壁にポスターは貼ってあった
そしてあなたは100万もの人を後ろから支え
ものの見方を説いた
だけど僕達はあなたの考えに付いて行けず
あなたが描いたものを共有できなかった
問題が続出しているのに僕達は一人でいるより
皆で仲良くオロオロする方を選んでしまう
Ah, Here she comes, here she comes
Here she comes again
Same old painted lady
From the brow of the superbrain
She’ll scratch this world to pieces
As she comes on like a friend
But a couple of songs from your old scrapbook
Could send her home again
またまた
あの頭脳集団から
いつもの蝶がやって来た
友達みたいな顔をしてやって来ては
場を滅茶苦茶にしてしまう
あなたの古いスクラップブックにある歌なら
彼女を元通りに出来るだろうに
(guitar solo in A G#m F#m E A G#m F#m B)
Now hear this Robert Zimmerman
Though I don’t suppose we’ll meet
Ask your good friend Dylan
If he’d gaze a while down the old street
Tell him we’ve lost his poems
So we’re writing on the walls
Give us back our unity
Give us back our family
F#m G#m
You’re every nation’s refugee
A B
Don’t leave us with their sanity
僕達は出会うことはないと思うけど
古い街をちょっとでも振り返る事があるのか
あなたの親友ディランに尋ねてみておくれ
そして彼の詩をなくしてしまったから僕達は
壁にこんな事を書いてるんだと伝えておくれ
団結を取り戻そう
絆を取り戻そう
あなたはどの国からも逃れる身
僕達をまともなままに置いて行かないでおくれ
Ah, Here she comes, here she comes
Here she comes again
The same old painted lady
From the brow of the superbrain
She’ll scratch this world to pieces
As she comes on like a friend
But a couple of songs from your old scrapbook
Could send her home again
またまた
あの頭脳集団から
いつもの蝶がやって来た
友達みたいな顔をしてやって来ては
場を滅茶苦茶にしてしまう
古いスクラップブックのあなたの歌なら
彼女を元通りに出来るだろうに
G
Oh, a couple of songs from your old scrapbook
A
Could send her home again
A D A
Oh, here she comes, ooh, here she comes
A D
Oh, here she comes, ooh
彼女を元通りに出来るだろうに
ああ、また彼女のお出ましだ
A G#m F#m E A G#m F#m B E
公式サイト davidbowie.com に掲載の詞は必ずしもスタジオ録音の歌唱に忠実ではないのでご注意あれ。
本作に至ってはサビのリフレインを Here she comes etc. などと記している事から察するに、そもそも正確を期する気などさらさら無い模様。
最初のサビに [That]The と表記したのは、ミックロンソンのハモは that だがボウイは the と歌っているから。
Don’t leave us with their sanity の所は with our sanity って歌ってんじゃないかなあ。
vengeance = 復讐(= revenge)
brow = 頂上
bedsit = bedsitter = 寝室(bedroom)居間(sitting room)兼用の部屋
train of thought = chain of thought = 一連の考え
よく sandpaper(紙やすり)に喩えられたディランの声をボウイは sand and glue (砂と糊)みたいだと表現している。
私にはロンソンのギターもそんな音に聞こえる(レスポールからマーシャル直?)。
superbrain はアンディウォーホル(一派)で、she はディランの元恋人のイーディセジウィックを指すというのがほぼ定説。
アルバム中ひとつ前のB面2曲目は Andy Warhol だが、そのウォーホルの提案によりルーリードはセジウィックについて歌を書いている。
We’d rather be scared together than alone
一人でいるよりは皆で怖がっている方がマシ
日本にはこれに似た「格言」がある。
赤信号 みんなで渡れば 怖くない
仮初の安心、その正体は自己欺瞞。
alone は孤独でなく、自身で物事を深く考える事を指すのだろう。しかしそれを放棄し、ただ徒党を組んでしまう。
毎年1回はTVで特集される学生運動の狂騒を見る度に彼らの多くの心中はこんなものだったのだろうと思い致す(余談)。
I don’t suppose we’ll meet とあるが、実際には二人は何度も会っている。
但し、ボウイが会ったのはディランであってジマーマンではないかも知れない。恐らくボウイはジョーンズとして彼に会ったのだろうが。
実像とパブリックイメージの乖離。ディランの苦悩の種でもあった。
ボウイはそれを察していたからこそ本作でジマーマンに語り掛けたのだろう。
で、ディランのノーベル文学賞は、ジマーマンが受賞を拒んでるの?
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