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歌詞和訳 Nirvana – Scentless Apprentice コード

1990s

1993年発表の第3作アルバム In Utero 所収。

Scentless Apprentice

(Cobain, Grohl, Novoselic)

Eb E F F# ⤴
FF C# F C# FFFF C# F C#

Like most babies smell like butter
His smell smelled like no other
He was born scentless and senseless
He was born a scentless apprentice
赤子は大体バターの臭いがするが
彼の臭いは独特だった
生まれながらに無臭で無益
臭いの無い見習いとなるべく生まれた

B C# Eb E F# G# B G#

Go away, go away, go away
あっち行け

Every wet nurse refused to feed him
Electrolytes smell like semen
I promise not to sell your perfumed secrets
There are countless formulas for pressing flowers
どの乳母も授乳を拒んだ
電解液は精液の臭い
俺はあなたの香水の秘密をバラしたりしない
花の圧搾には数え切れないやり方がある

Go away, go away, go away
あっち行け

I lie in the soil and fertilize mushrooms
Leaking out gas fumes are made into perfume
You can’t fire me because I quit
Throw me in the fire and I won’t throw a fit
俺は土に眠りキノコの肥やしとなる
ガスを発し香水となる
俺を葬り去る事は出来ない、自分からおりるんだから
火に投げ入れてくれ、キレたりしないから

Go away, go away, go away
Go away, go away, go away, go away
あっち行け

歌詞はドイツの小説に取材している(英題 “Perfume” 邦題「香水―ある人殺しの物語」)。
18世紀、革命前のフランス。悪臭立ち込めるパリに生まれた、超人的な嗅覚を持ち、しかし自身には体臭の無い孤児が長じて香水店に弟子入りし、人心をも操る香水を調合するようになる。更なる至高の芳香を求める彼はある処女の体臭に忘我し、それをそのまま我が物にすべく彼女を殺す。最後は、焚き火をする浮浪者達に食べられてしまう… という奇譚小説。
85年に発表され全世界で1500万部を売るベストセラー。2006年に映画化。

本作のギターリフをデイブグロールが持ち寄ったものの、カートコベインは当初それが Sub Pop 時代のグランジサウンドを余りにも彷彿させるので気に入らなかった(such a cliché grunge Tad riff)。
しかし(グロールに気を使って)そのリフでジャムる内に、上昇フレーズをコベインが、ブリッジ部分をクリスノボセリチが、それぞれ考案し付加、更にはコベインが詞を書く。
こうしてアルバム内で唯一の3人クレジットの曲が出来上がった(印税も3等分)。

senseless = 無感覚の
wet nurse = 乳母
 dry nurse = 授乳しない乳母、子守。つまり授乳を以って wet とする。
 ただ dry nurse は今は余り使われず、単に nurse と言う。
electrolyte = 電解質
semen = 精液
fertilize = 肥やす
fumes = ガス
fire = 首にする、解雇する
throw[pitch,have] a fit = 激昂する
 fit = 発作、激発、一時的興奮
 ぴったり、の fit とは同綴同音だが別語

表題の意味は、小説の主人公の特徴まんまの「臭いの無い弟子」。
コベインは自身とこの主人公との類似に言い及んでいる。

Perhaps this is a character Kurt can relate to. “Yeah, more so a few years ago,” he says. “I felt like that guy a lot. I just wanted to be as far away from people as I could — their smells disgust me. The scent of human.”
CoMe aS YoU ARe: THe StoRY oF NiRVaNA, p. 324

 第1バース
like no other
周りとは違うと思われた作者自身を主人公に投影。

 サビ
go away は周りに言われた事と自身が思った事の両方なのだろう。

 第2バース
wet nurse の件は不遇の幼少期を表しているのだろうが、その後の電解質と精液は何の事やら。
花の圧搾は香水の製造工程にありそうだが、電解液を使ったりもするのだろうか。

 第3バース
lie in the soil and fertilize mushrooms
私の知り得る最も長い「死ぬ」の婉曲表現。

fumes are made into perfume
スカトールという、糞臭を持つ芳香族化合物が香水に使われるのならば、人体の腐臭も香水の成分になり得るのだろう。

You can’t fire me because I quit!
Throw me in the fire and I won’t throw a fit
小説の主人公は浮浪者達に食べられるのを厭わなかったのか(何せ読んでないから分からん)。
1つ目の fire は他動詞で、首にする、の意。
 例) You’re fired. お前は首だ。
 これ、言われた事ある…

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