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歌詞和訳 David Bowie – Station to Station

1970s

76年発表の第10作アルバム Station to Station の表題曲/開始曲。
10分を超える、ボウイの最長スタジオ録音曲。

Station to Station

(David Bowie)

The return of the Thin White Duke
Throwing darts in lovers’ eyes
瘦白公の帰還
恋人達の目に投げ矢を放つ

Here are we, one magical moment
Such is the stuff from where dreams are woven
Bending sound, dredging the ocean
Lost in my circle
Here am I, flashing no colour
Tall in this room overlooking the ocean
Here are we, one magical movement
From Kether to Malkuth
There are you drive like a demon
From station to station
ここに我ら、この神秘の瞬間
これこそ夢の編まれる場のひと時
しなる音、大海をさらい
我が輪の中に消え入る
ここに我、色も発せず
この部屋に真っ直ぐ立って大海を見下ろす
ここに我ら、この神秘の移動
ケテルからマルクトへの
そこに汝、悪魔の如く疾走する
セフィラからセフィラへと

The return of the Thin White Duke
Throwing darts in lovers’ eyes
The return of the Thin White Duke
Throwing darts in lovers’ eyes
The return of the Thin White Duke
Making sure white stains
瘦白公の帰還
恋人達の目に投げ矢を放つ
瘦白公の帰還
恋人達の目に投げ矢を放つ
瘦白公の帰還
白い染みを確かめる

Once there were mountains on mountains
And once there were sun birds to soar with
And once I could never be down
Got to keep searching and searching
And oh, what will I be believing
And who will connect me with love?
Wonder who, wonder who, wonder when
Have you sought fortune evasive and shy?
Drink to the men who protect you and I
Drink, drink, drain your glass
Raise your glass high
かつてそこには山々が連なり
かつてそこに太陽鳥と共に舞い上がり
かつて我はおりる事もなく
真理の探求に腐心していた
ああ、何を信じていようか
誰が自身を愛と結び付けるであろうか
誰であろう、誰、いつ
汝は手に入れ難い富を求めた事があるか
汝と我を守る者達に乾杯しよう
飲んで飲んで飲み干そう
祝杯を挙げよう

It’s not the side-effects of the cocaine
I’m thinking that it must be love
コカインの副作用などではない
これこそが愛だと思うのだ

It’s too late to be grateful
It’s too late to be late again
It’s too late to be hateful
The European canon is here
もう感謝しようにも遅い
また乗り遅れるにも遅い
憎まれようにも遅い
欧州の規範がもうここに

I must be only one in a million
I won’t let the day pass without her
我は百万に一人の逸材
彼女なしに一日たりとも過ごしはしない

It’s too late to be grateful
It’s too late to be late again
It’s too late to be hateful
The European canon is here
もう感謝しようにも遅い
また乗り遅れるにも遅い
憎まれようにも遅い
欧州の規範がもうここにあるのだから

Should I believe that I’ve been stricken?
Does my face show some kind of glow?
我は本当に病にかかっているのか
顔が何か光を放っているのか

It’s too late to be grateful
It’s too late to be late again
It’s too late to be hateful
The European canon is here, yes it’s here
It’s too late, It’s too late
It’s too late, It’s too late
It’s too late, the European canon is near
もう感謝しようにも遅い
また乗り遅れるにも遅い
憎まれようにも遅い
欧州の規範がここに、そうなのだ
もう遅い、遅すぎる
もう遅い、手遅れだ
欧州の規範が近づいているのだから

(interlude)

It’s not the side-effects of the cocaine
I’m thinking that it must be love
コカインの副作用などではない
これこそが愛だと思うのだ

It’s too late to be grateful
It’s too late to be late again
It’s too late to be hateful
The European canon is here
もう感謝しようにも遅い
また乗り遅れるにも遅い
憎まれようにも遅い
欧州の規範に倣わねばならないのだから

I must be only one in a million
I won’t let the day pass without her
我は百万に一人の逸材
彼女なしに一日たりとも過ごしはしない

It’s too late to be grateful
It’s too late to be late again
It’s too late to be hateful
The European canon is here, yes it’s here
もう感謝しようにも遅い
また乗り遅れるにも遅い
憎まれようにも遅い
欧州の規範がここに、そうなのだ

Should I believe that I’ve been stricken?
Does my face show some kind of glow?
我は本当に病にかかっているのか
顔が何か光を放っているのか

It’s too late to be grateful
It’s too late to be late again
It’s too late to be hateful
The European canon is here, yes it’s here
It’s too late, It’s too late
It’s too late, It’s too late
It’s too late, the European canon is here
もう感謝しようにも遅い
また乗り遅れるにも遅い
憎まれようにも遅い
欧州の規範がここに、そうなのだ
もう遅い、遅すぎる
もう遅い、手遅れだ
もう遅い、欧州の規範がここに

lovers’ eyes
ダーツやアーチェリーの的の中心部は bull’s eye と呼ばれる。

Bending sound
ギターのチョーキング(bending)で汽車を模したイントロの音とも関連があるだろうか。

From Kether to Malkuth
From station to station

生命の樹

Sefirot

この生命の樹における sefirah(セフィラ = station)の一つ Da’at(ダート = knowledge)から darts(ダーツ)を投げるラインが生まれたのだろうか。

Da’at

station の訳語としたセフィラを、これらの概念に倣ってもう少し説明すると「神秘的な状態(the mystical state)」となる。

white stains → White Stains

ボウイが当時傾倒していたアレイスタークロウリーの著作名であり、また、精液及びコカイン(への依存)のメタファー。

canon = 規範、基準

有名なコード進行の曲「パッヘルベルのカノン」もこれ。音楽において先行句を厳格に模倣していく対位法。
この言葉はボウイの公式サイトにも以前 canon と明示されていた(現在歌詞は非掲載)。他方、cannon(= 大砲)と解釈する向きもある(否定する者もいるが)。
「厳格に模倣」させるには強制力、端的には暴力に訴える場合もあろうから、語源は異なるがこの二つの異綴同音語は関連語とも見なせる(ちょっと強引か?)。

さて、本作における Duke は我が国では公爵と訳されまた見なされるのが通例だが、寧ろただの貴人でなく欧州の君主たる公(大公)とも取れる。獅子心王の如く、支配者に渾名めいた形容が付くのも彼の地の常だし。
欧州の規範を信奉し、臣民の恋人達に向けてダート(= 知識)を投げる一国のガリガリ白君主…

フランスでリリースされたプロモシングル

唐突な始まり方、尻切れな終わり方、と思ってしまうのもアルバムの完全版を知っているからだろう。これを先に聞いたフランス人達はこーゆーファンク曲だと思ったのかも知れない。前後を切って3分40秒に編集されたこのラジオフレンドリー短縮版は果たして彼の地のラジオでよく流されたんだそうな。

年男… 亥年生まれだったのか。

出火吐暴亥…

コメント

  1. 龍尾 より:

    お久しぶりです。

    オカルトに傾倒したり、薬に依存したりのロサンジェルスを離れて、
    Bowieは養生しにドイツに行くわけですが、冒頭の汽車の音って何なんですかね。

    クラフトワークの「ヨーロッパ特急」には、
    「From station to station Back to Düsseldorf City Meet Iggy Pop and David Bowie」
    というくだりがありますが「ヨーロッパ特急」のミックスダウンはロサンジェルスだそうです。

    汽車つながり、ロサンジェルスつながりというだけですが、
    何か偶然ではない、オカルトとは言わないけど、スプリチュアルとも言わないけど、
    何か不思議な隠された何かがあるのかしら、と妄想したりしてます。

    • deni より:

      龍尾さん、お久しぶりです、ボウイの死から早三年ですね。

      station は駅でなく十字架の道行き(Stations of the Cross)を表している、という記述も見かけますが、この汽車の音からしてもやはり鉄道駅を少なくとも仄めかすものではあると思います。
      ヨーロッパ特急はドイツでなく逆にLAなんですね。イギー/ボウイと入れ違いみたいな。あのくだりは僕はドイツ語のやつしか聞いた事ありません。
      痩白公がコーク漬けLAを脱出してヨーロッパの規範に立ち返りベルリンを目指したのはクラフトワークの存在も大きかったんでしょうか。あ、その前にスイスでしたっけ?何か租税回避の為もあった様な(じゃあ十分シラフ)事も聞きますが、さもありなんという気もします。