The Miracle (Of Joey Ramone)
(Bono and The Edge / U2)
I was chasing down the days of fear
Chasing down a dream before it disappeared
I was aching to be somewhere near
Your voice was all I heard
I was shaking from a storm in me
Haunted by the spectres that we had to see
Yeah, I wanted to be the melody
Above the noise, above the hurt
恐怖の日々を追い落とそうとしていた
悪夢が消え去る前に追い払おうとしていた
ここではないどこかへ行きたくてうずうずしていた
聞こえてきたのはあなたの声だけ
内なる嵐に体が震えた
見たくもない亡霊に取り憑かれる中
そう、俺はそんなメロディになりたかったんだ
ノイズや痛みを超越したメロディに
(pre-chorus)
I was young
Not dumb
Just wishing to be blinded
By you
Brand new
And we were pilgrims on our way
俺は若かった
でも言葉があった
あなたに目がくらむのを
自ら望んだ
全く新しい世界
それで俺達は巡礼者となって歩き始めた
(chorus)
I woke up at the moment when the miracle occurred
Heard a song that made some sense out of the world
Everything I ever lost now has been returned
The most beautiful sound I’d ever heard
We got language so we can(‘t) communicate
Religion so I can love and hate
Music so I can exaggerate my pain and give it a name
奇跡に際し俺は開眼した
ある歌を聞いたら世界がどんな意味を持つのか少し分かった
失ったはずのものも今や全て手の内に戻って来た
それは聞いた事も無い美しい歌声
俺達には意思疎通の為の言語があり
俺には愛憎の為の信心があり、そして
苦痛を強調してそれをそう呼ぶ為の音楽がある
→(pre-chorus)(chorus)
We can hear you
We can hear you
We can hear you
俺達には
聞こえる
あなたの歌声が
I woke up at the moment when the miracle had come
I get so many things I don’t deserve
All the stolen voices will some day be returned
The most beautiful sound I ever heard
奇跡に際し俺は開眼し
もったいない程のものを多く獲得した
全ての失われた歌声もいつか回復されるだろう
それは聞いた事も無い美しい歌声
Your voices will be heard
Your voices will be heard
今度は君達の歌声が
聞こえて来るだろう
前回の投稿で U2 を取り上げた勢いでこれをやってみた。
第13作アルバム Songs of Innocence の開始曲らしい… と言うのも実は、聴いた事ないから。
たまにはこんなのも面白そうではある。
私には言語より先に音楽が存在したという持論があります(興味おありの向きはこちらを)。
ただ、より無機的な書き言葉の記号の羅列のみを読み解いて作者の歌心に迫ってみるのも面白いかと(曲先詞先の別も分からないが)。
で、どれにしようと考え、1曲目にしました。
U2 のアルバムは何枚か持っているものの、彼らに執心した事は無く、知っている事と言えばアイルランド共和国出身くらいのもの。
そしてボノは分別臭い事を歌ってそう(実際はよく知らない)。
90年代、色んな手法の新しいメディアミックスみたいな事をやっているのは耳にしていて、何だかしゃらくせー連中だなあなどと感じていた(他とは一線を画すこの手の新しい試みは、前回の投稿で取り上げたメタリカの Ulrich が絶賛するU2 の一面ではあろうが)。
その頃、プラネタリウムみたいな所で仰ぎ見た Zooropa の映画みたいなのも、ギターの音がキンキンしているし、歌声も余り好きにはなれなかった。
アップル社のCMにお目見えした時も、ああ彼らならやりそうだなどと冷ややかに見ていた。
さて、Joey Ramone(1951-2001)は Ramones のボーカリストで、パンクロックのゴッドファーザーなどと尊称されている(そりゃイギーポップだろって言う人もいるでしょうが)。
ボーカルスタイルを模索していた若かりしボノに多大な影響を与えたらしく、ラモーンズが存在しなかったら U2 も存在しなかっただろうとまで明言している。
結論から言うと面白い詞だった(曲との相性についてはさっぱり分からないが)。
Music so I can exaggerate my pain and give it a name
ここなんてまんま音楽の、いやロックの、もっと限定的に言えばパンクロックの定義みたいなもの。
自身の音楽創作の源泉をこんな青臭い言葉で告白するなんて、ボノさん、アタシゃアンタの事よく知りもしねーで勝手に遠ざけてたみてーでゲス。
こっちはレミゼラブルの Victor Hugo による音楽の定義
Music expresses that which cannot be said and on which it is impossible to be silent.
音楽は、得も言われぬ、然るに黙ってもおれぬものを表現する。
spectre… アイリッシュは英国綴りに準拠すると思い、こっちにした。
Ramones のアルバムもプロデュースした Phil Spector(収監中)と掛けているのか(考え過ぎ?)。
聞き取り作業が出来ないので流布するものの丸写し。
near の所、new と書いてあるのもあったが、2行前が fear だからこっちでいい筈。
hurt の所は、herd との表記もあったが、これはどっちか分からない。
so we can’t communicate の所、これって can の間違いじゃないかなあ。だって Not dumb って言ってるんだから。
the miracle had come の所、最後のサビだからちょっと変えたのかとも思ったが、韻律を考慮すればやはり前のサビと同じ occurred が正解か。deserve, returned, heard と続くので。
We can hear you は、U2 が Ramones を聴いてきたという事実で、Your voices will be heard は、まだ見ぬ若いバンドの歌声が聞こえるだろうと未来を語っているのだろう。
自分達も先人達に inspire されて音楽をやってきた、今度は君達の出番だと次世代を鼓舞。
奇跡などという大仰でベタな表題だから、来し方を振り返る U2 版 My Way の様なものかとも思ったが、ある一人の先達をモチーフにして、その影響のデカさを嵐とまで形容している所がとてもいじらしく、自身を相対化していて尊大さなどは全く感じられない。
しかも最後にはサラッと次世代への期待を予言めいた言い回しで仄めかしている。ニクイねえ。
(きっとロック離れへの危惧の表れでもあるのだろう)
U2 の詞を初めてまともに眺めたが、面白かった。やってみるモンですなあ。
ところで、これ、どんな曲なんだろ…
追記 10/18
I was chasing down the days of fear
Chasing down a dream before it disappeared
この2つの chasing down を一様に、追い落とす、と解釈していたが、2番目は、追う、手に入れようとする、が適当か。
この場合、chasing down = chasing up となり、何で真逆の down/up で同義になるんじゃい!とツッコミたくもなるが、追う側と追われる対象物のどちらを主体にするかという話になるのだろう。
しかも目的語は a dream なので、それをネガティブな悪夢と取るのはチト牽強付会でした(the dream だったらあり得る)。
だからこそもう一度見直してみるに至ったのですが。
逆に1番目を、the days of fear を追い求める、とする解釈は(可能性としてはあるが)やはりおかしいので、2つの chasing down は二様に取るべきだろう。
結論
「消え去る前に夢をつかもうとしていた」
それから、曲をテレビCMでちょっと聴いたが、ハネたリズムという事しか覚えていない…
動画を追加
さんざんタダで配った後にCDなんて売れんのかなあ(大きなお世話)。
コメント
Music so I can exaggerate my pain and give it a name
これは「痛みを誇張して名前をつける」でしょう
漠然と感じてはいるけど言葉にならない苦い思いを歌詞として代弁してくれた
という誰もがシンガーに対して感じる共感のこと
lizさん ようこそ
「痛みを誇張して名前をつける」
この文には「音楽」が入っていないので原文の対訳のおつもりではないと存じます。どんな構文だと把握なさっているのか、例えばこの music で始まるラインは独立した名詞節なのか、it は何を指すのか、等についてもう少し詳しくご説明の上、対訳をお示し下さい。
後半は個人的解釈とお見受けしましたが、コメント全体として補足的な解釈をお示しになったのか、それともそもそもアンタの対訳も解釈も間違ってるぞと仰りたいのか、お教え下さい。読者を混乱させたくないので。