The Jimi Hendrix Experience が1967年に発表した第2作アルバム Axis: Bold as Love の収録曲。
Little Wing
(Jimi Hendrix)
Am Em
With a circus mind that’s running round
Bm
Butterflies and zebras
Bb Am C G
And moonbeams and fairy tales
Fadd9
That’s all she ever thinks about
C D
Riding with the wind
雲の中を歩く彼女
蝶々に縞々馬々
月光におとぎ話
風に戯れ
思い浮かべるのはそんなことばかり
With a thousand smiles she gives to me free
It’s alright, she says, it’s alright
Take anything you want from me
Anything, anything
千の微笑みを惜しみなく寄せながら
大丈夫、彼女は言う、大丈夫だよ
欲しいものは何でもあげる
何だって持ってっていいんだよ
原キーがEbmなので、上掲コード表記は(ヘンドリクス同様に)ギターを半音下げで弾く為の便宜的なものである事をまず断っておきます。
するとFadd9(実質Eadd9)は、これまた本人みたいに6弦を親指で押さえれば、9度の音は3弦の開放で鳴らせる。
circus は circle と同源なのに、元の「円環」の意はほぼ廃れてしまっている。
ただ英語話者の語感にその名残はあろうから、後続の round と関連語だと言える。
走り回ったりグルグル回転する様がこの言葉の元になったというのが一説。
円形競技場で行われた見世物そのものを指す様になったというのがもう一方の説。
しかし経緯はどうあれ、曲芸の意が支配的になったので、今や辞書の当該項の最初に据えられているのは日本語にもなっているサーカス(団)。
ならばここは、サーカスマインド、などと音訳した方がそんな語源や経緯をも伝える事になるかもなあと思いつつ、でもまあその不思議な言葉の何たるかは、次行以下の例示的な描写でちゃんと作者ヘンドリクス本人が説明してくれているから許してつかあさい。
Butterflies and zebras
蝶の複数形と思しき蝶々なる言い方に倣い、縞馬のそれを縞々馬々とやりました(聞き流してつかあさい)。
angel なる言葉こそ出て来ないが、何せ表題が小さな羽で、風に乗り雲を歩いているのだから、she は天使(の様な人)と見なしてまず間違い無かろう(天使に性別は無いらしいけど)。
ヘンドリクスの信心については知らぬが、キリスト教的空想で描かれる宗教画みたいな絵が浮かぶ歌(空想なんて言ったら敬虔な信者に怒られる?)。
齢17でヘンドリクスを産むもその幼い彼を置いて出奔、後に夭死した実母。
本作が母親を偲んで書かれた歌かは知り得ぬが、she の奔放さと惜しみない微笑みに救われる語り手 I がそのまま作者であり歌い手であるヘンドリクス自身なのは間違い無さそう。これが所謂「無償の愛」の正体だろうか。
Derek & The Dominos
Sting
Stevie Ray Vaughan
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