71年に米2位を記録したヒットシングル。後に発表したアルバムに表題曲として収録。
What’s Going On
(Cleveland, Gaye, Benson)
C#m7
There’s too many of you crying
EM7
Brother, brother, brother
C#m7
There’s far too many of you dying
F#m7
You know we’ve got to find a way
F#m7/B B7
To bring some loving here today
あまりにも多くの母親達が涙を流している
兄弟達よ
更に多くの兄弟達が命を落としている
そう、ここで今日にでも解決策を見つけなきゃ
愛しい思いを届けるすべを
We don’t need to escalate
You see, war is not the answer
For only love can conquer hate
You know we’ve got to find a way
To bring some loving here today
もうこれ以上はご免だ
分かってるはず、争いが答えではない事なんて
憎しみを克服できるのは愛だけだから
そう、ここで今日にでも解決策を見つけなきゃ
愛しい思いを届けるすべを
F#m7/B
And picket signs
F#m7
Don’t punish me
F#m7/B
With brutality
F#m7
Talk to me
F#m7/B
So you can see
EM7
Oh, what’s going on
C#m7
What’s going on
EM7
Yeah, what’s going on
C#m7
Oh, what’s going on
スローガンを掲げる
僕を暴力で罰しようなんて
思わないでくれ
話し合おう
そうすれば分かるはず
何が起こっているかなんて
現状がどうなのか
何が起こっているかなんて
見えるはず
Everybody thinks we’re wrong
Oh, but who are they to judge us
Simply ‘cause our hair is long?
Oh, you know we’ve got to find a way
Bring some understanding here today
僕らは間違ってるって皆が思ってる
ああ、でもただ僕らの髪の毛が長いってだけで
彼らに僕らを裁く権利なんて無いはず
ああそうさ、今ここで解決策を見つけるんだ
共に分かり合うすべを
And picket signs
Don’t punish me
With brutality
Come on, talk to me
So you can see
What’s going on
Yeah, what’s going on
Tell me what’s going on
I’ll tell you what’s going on
スローガンを掲げる
お仕置きなんて
やめてくれ
さあ、話し合おう
君にもきっと
現状が見えるはず
何が起こっているのか
今起こっている事を君が教えてくれ
それとも僕が教えてやろう
Marvin Gaye(1939-84)の共作者が目撃した警察の蛮行が本作の元になっている(恐らく白人警官の黒人に対するものだろう)。
これに、従軍した実弟がベトナム戦地からゲイに送った手紙が影響して書かれた歌。
here today は恐らく、bring でなく、1行前の find に係っている。
For only love can conquer hate
これはマーティンルーサーキングJr(1929-68)の言葉を援用したものだろう。
Darkness cannot drive out darkness:
Only light can do that.
Hate cannot drive out hate:
Only love can do that.闇が闇を駆逐する事はない:
それが出来るのは光のみ
憎悪が憎悪を駆逐する事はない:
それが出来るのは愛のみ
picket = ストの監視員、見張り兵
これは恐らく国内のデモと戦地の両方を指している。
brutality = 蛮行
先述の様に本作は警察の蛮行(police brutality)が元になっている。
端的には暴力の事で、更には最大規模の暴力たる戦争をも指す。
そして表題 what’s going on
これは、何が起きてんだ?と繰り返し問い掛けているものだと思っていたが、少なくとも始めのは疑問文ではなく名詞節だろう。つまり see の目的語。
話し合えば現状が見えてくる、と言っているのです。
実父との会話
信心に基づいた、非常に理性的で慈愛に満ちた語り口。
理想的な父子関係である事が窺える。
しかしこの後の84年、同居していた自宅で口論になった際に父親が息子に発砲、そのまま帰らぬ人に。
二人共 escalate してしまったのだろう。
話し合いによる相互理解の重要性を歌ったゲイ本人が、その最も憎んだ暴力により命を絶たれるという皮肉の極み。
これに対し、言うは易く行うは難し、などと断ずるのは酷だろうか。
獄中のインタビューで、息子を愛していたかと問われた父が答えて曰く、
Let’s say that I didn’t dislike him.
何ともやりきれない、切ない言い回し…
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