Linkin Park のフロントマン Chester Bennington が死んだ。2017年7月20日没、享年41。
ここにバンドの代表曲を取り上げ以って哀悼。
2003年発表の第2作アルバム Meteora 所収。米11位、英14位を記録したヒットシングル。
Numb
(Linkin Park)
Feeling so faithless, lost under the surface
I don’t know what you’re expecting of me
Put under the pressure of walking in your shoes
何も信じられず、内心では途方に暮れている
あなたが僕に何を期待してるのか分からない
あなたの靴で歩く事の重圧を感じている
Just caught in the undertow)
Every step that I take is another mistake to you
(Caught in the undertow
Just caught in the undertow)
波に飲まれてただなすがまま)
僕の踏み出す一歩は全てあなたにとっては過ちとなる
(引き波に捕らわれ思う様に動けない)
Become so tired, so much more aware
By becoming this all I want to do
Is be more like me and be less like you
とても疲れた、それが自分にはすごくよく分かる
こうなった事で僕がただ望むのは
自分らしくある事とあなたみたいにはならない事
Holding too tightly, afraid to lose control?
‘Cause everything that you thought I would be
Has fallen apart right in front of you
きつく縛りつけたりして、自分の手から逃れられるのが恐い?
あなたの期待した僕の全てが
目の前で崩れ落ちてしまったから?
Just caught in the undertow)
Every step that I take is another mistake to you
(Caught in the undertow
Just caught in the undertow)
And every second I waste is more than I can take
波に飲まれてただなすがまま)
僕の踏み出す一歩は全てあなたにとっては過ちとなる
(引き波に捕らわれ思う様に動けない)
無駄にした時間は一秒たりとも受け入れられるものではない
Become so tired, so much more aware
By becoming this all I want to do
Is be more like me and be less like you
とても疲れた、それが自分にはすごくよく分かる
こうなった事で僕がただ望むのは
自分らしくある事とあなたみたいにはならない事
But I know you were just like me
With someone disappointed in you
だけどあなたもきっと僕みたいに感じてたのだろう
あなたに失望する人と一緒にいた時は
Become so tired, so much more aware
By becoming this all I want to do
Is be more like me and be less like you
とても疲れた、それが自分にはすごくよく分かる
こうなった事で僕がただ望むのは
自分らしくある事とあなたみたいにはならない事
(I’m tired of being what you want me to be)
I’ve become so numb, I can’t feel you there
(I’m tired of being what you want me to be)
(あなたの望む僕でいる事に疲れた)
感覚が無くなった、あなたがいるのかも分からない
(あなたの望む自分でいる事に疲れた)
セルアウトだの変節だのという、新作アルバムに対する批判にベニントンが心を悩ませているのは聞き知っていた。
一方、スリップノットのコリーテイラーなど、彼らの新作を勇気あるものと擁護/支持する者もいた。
本作の冒頭と最後の一節
I’m tired of being what you want me to be
あなたの望む僕でいる事に疲れた
今となってはこの you にはファンが当てはまるのかも知れない。
かつてアクセルローズがカートコベインに、死してなお辛辣な言葉を投げつけた様に、「何を甘ちゃんな事をぬかしやがって」と一蹴するのは簡単だけど…
ふた月前に死んだクリスコーネルに宛てた言葉
With all of my love @chriscornell. pic.twitter.com/NFz0dnxfp8
— Chester Bennington (@ChesterBe) 2017年5月18日
「あなたの声は楽しみと苦しみであり、怒りと許しであり、愛情と心痛であり、その全てを一つにまとめたものでした。それこそが我々の姿なのでしょう。あなたのお陰でそれが分かりました」
サウンドガーデンの Black Hole Sun にこんな一節がある。
In my shoes, a walking sleep
自分の靴で、夢見の散歩
そしてこれは本作の一節。
Put under the pressure of walking in your shoes
あなたの靴で歩く事の重圧を感じている
自分の靴だと夢見心地。一方、あなたの靴ではプレッシャーがのしかかる。
さっきと同じくまた you をファンまたは聴き手と見なしてしまうが、ベニントンの胸にあらぬ思いが去来したのは、「自分の靴」で自信を持って新作を物したにもかかわらず「あなたの靴」を履いてファンの立場から自分を眺めた時だったのかも知れない。
ファンなんて実に勝手なもので、新曲が気に入らないならファンをやめりゃいいのに、あろう事かわざわざ攻撃に走る者まで出て来てしまう。「自分の靴」を履かせたいのだ。そして今やそんな身勝手な思いを罵詈雑言と共に直接差し向けられる、ソーシャルメディアなんていう彼らに誂え向きの道具もある。片や、届いた言葉を真に受けて苦悶する真面目な作家演者もいる。良くも悪くも彼はそんなバカ真面目な人だったのだろう。
コメント
はじめまして。
NirvanaのYou know you’re rightの和訳を探して辿りつき、それからちょくちょく覗かせていただいています。
この曲”Numb”を初めて聴いたのはもう10年くらい前で、当時は自分の進路が見えず、悩んでいた時期ということと特徴的なPVの影響もあり、「親が願う将来と自分の望む将来が合わずにうまくいかない」心境を歌ったものだと思っていました。
ただ、今回のチェスターの自殺と「shoes」の意味の取り方にハッとさせられたところがあります。
カートにしろ、チェスターにしろ、「ある意味鈍感であるべきだったけど、繊細すぎた」のかなあと・・・。
すみません、取り留めのない分になってしまいましたが、思うことがあってコメントさせていただきました。失礼しました。
10円さん はじめまして ようこそ
10円さんと同じ様に親の靴と解釈し、本作を自身の境遇に重ねて共感していた英語話者も多かった様です。
コーネル宛ての手紙に感銘を受けていた僕にとっては更にshoesの一語がサウンドガーデンへのリンクとなりました。
そのツイートにある通り彼は、苦楽や怒りと許し等、両極のものを全て飲み込む術を身に付けたかに見えていたので、訃に触れた時は驚きました。
>鈍感であるべき
仰る通り。ただ鋭敏でなければあんな音楽作品は残せなかったとも思え、難しいところです。
またいつでも思うことがあればお気軽にコメント下さい。