1993年発表の第3作アルバム In Utero 所収。
Radio Friendly Unit Shifter
(Kurt Cobain)
*半音下げチューニング
What’s your name?
Do you like me?
俺のこと好き?
A A C G G E B F# F# E F# E (bass line x2)
C5 G5 G5 G5/E B5 F#5 F#5 E F#5 E (x2)
A5
Use just once and destroy
Invasion of our piracy
Afterbirth of a nation
Starve without your skeleton key
I love you for what I am not
I did not want what I have got
A blanket acne’ed with cigarette burns
Speak at once while taking turns
略奪行為に来襲
ある国の後産
何にでも合う鍵が無きゃ飢え死に
俺とは違うから好き
手に入った物など欲しくはなかった
煙草の焼け跡だらけでにきびみたいな毛布
順番で一度に語り出す
C5 G5 G5 G5/E B5 F#5 F#5 E F#5 E
What is what I need?
What is wrong with me?
What is what I need?
どうなっちまったんだ、俺
必要なものって?
You know I’m gonna do with what you think
If you ever think at all
Bi-polar opposites attract
All of a sudden my water broke
I love you for what I am not
I did not want what I have got
A blanket acne’ed with cigarette burns
Second-rate third degree burns
その考えも受け容れてやるさ
対極のもの同士が引かれ合い
突然の破水
俺とは違うところが好き
手に入った物など欲しくはなかった
煙草の焼け跡だらけでにきびみたいな毛布
取るに足らぬが重篤なやけど
What is what I need?
What is wrong with me?
What do I think I think?
どうなっちまったんだ、俺
何を考えてるって思ってんだろ
C5 E5 A5 G5
Hate your enemies
Save, save your friends
Find, find your place
救え、友を救え
見つけろ、居場所を見つけ出せ
C5 E5
Speak, speak the truth
What is what I need?
What is wrong with me?
What is what I need?
What do I think I think?
どうなっちまったんだ、俺
必要なものって?
何を考えてるって思ってんだろ
Use just once and destroy
Invasion of our piracy
Afterbirth of a nation
Starve without your skeleton key
略奪行為に来襲
ある国の後産
何にでも合う鍵が無きゃ飢え死に
What is wrong with me?
What is what I need?
What is what I need?
What do I think I think?
What is wrong with me?
What is what I need?
What is what I need?
What do I think I think?
俺に必要なものって?
俺に必要なものって?
何を考えてるって思ってんだろ
どうなっちまったんだ、俺
俺に必要なものって?
俺に必要なものって?
何を考えてるって思ってんだろ
Use (just) once and destroy
感染を防止すべく注射器に記載されている注意書き。
invasion of our piracy ← invasion of privacy
「プライバシーの侵害」をもじって Vanity Fair 誌へ当て付けているのだろうか。
afterbirth = 後産
好ましい事象の直後の思わしくないものの喩えとして使われる事の多い言葉。
米国の誕生自体は好意的に捉えるものの、そこで醸成された大衆文化については批判的な目を向けている、という事か。
skeleton key = 合い鍵(かかりの部分を削り落とし多くの錠に合うように作った鍵)
恐らく Nirvana 自身も含めた、他数者が享楽の対象とするロックアイコン及びその作り出す音楽の隠喩。
原題は Four Month Media Blackout (4ヶ月間のメディアの意識喪失)。
第2作 Nevermind とその収録曲 Smells Like Teen Spirit の画期的大ヒットに伴う、メディアによる彼らの取り上げ方に対する揶揄。
In Utero 発表後の多くの公演の開始曲に本作が据えられた事から察するに、そのメディアが作った Radio Friendly(ラジオ向け)な流行に無闇に乗っかるだけの、Nirvana を享楽の対象としてしか見ない聴衆(ファン)にもその矛先は向けられたのだろう。
Live and Loud
In Bloom にも思考放棄のリスナーへの冷笑は既に見られる。ただそこではそれこそ半笑いで皮肉る様に歌っており、つまり作者コベインにもまだ余裕と幾許かの冷静さがあった気がする。
然るに本作ではもうとにかく真正面から言葉を投げ付けている印象。当て擦りや嘲りはとうに通り越し、もはや攻撃。ハウリングやノイズで敵を威圧。
ただ聞き流せばカッコいいだけの筈のギターリフにも、斬って斬って斬りまくってやろうという鬼気迫るものを感じる。
コベインはさながら、ギターを大上段に構えた左利きの鬼剣士。そしてその気迫は裏を返せば切迫感。切羽詰まった余裕の無さ。
Speak, speak the truth 真実を語れ
とにかくギマンにガマンならん。
その根底には良くも悪くも彼の真面目さから来る使命感があるのだろう。
自身をも Unit Shifter (安易な転換をも辞さぬ者)と見なしていた節すらある。
I love you for what I am not
I did not want what I have got
主語 I を作者本人と見なせば、このラインは音楽業界での大成功が彼にとって不本意なものになってしまった事の表明となる。
「手に入った物なぞ欲しくはなかった」などという物言いは、GN’R のアクセルローズがフレディマーキュリーを好対照の例と引き、死して猶コベインの姿勢を批判するに誂え向きの材料になってしまった。
コメント